よくある疾患シリーズ 〜骨粗鬆症(こつそしょうしょう)骨がモロイとは〜
こんにちは。
少し暖かくなりましたね。
とはいえ、まだまだ明け方はひんやりです。
暖明け方の少し肌寒い時に毛布をかけて眠るとき
とてつもなく幸せを感じる山本 あん奈です。
さて小児用コロナワクチンが、当院でも始まりました。→こちら
流通している小児用ワクチン数が少なく
大人用ワクチンとは管理も全く違うので
当院では(土曜日)10人限定で当面やって参る予定です。
ご希望の方は窓口にお声かけくださいね。
また、流通やニーズによって運営は変わるかもしれませんので
都度都度、情報は更新して参ります。(2022.3.18現在)
今日は、骨粗鬆症(コツソショウショウ)を取り上げたいと思います。
コツソショウショウ・・・・・・コツソショウショウ・・・・・・
早口言葉みたいですよねえ。
この言葉自体は、結構皆様知っておられると思います。
今日は、その内容について少し迫ってみたいと思います。
さて
★よくある疾患シリーズ★
今まで新しい記事を書くたびに
更新のたびに過去の記事はこちらです!と引用していましたが
この度新しくホームページのサイトマップより
「よくある疾患タブができました!!」(トモさんありがとうございます!)
過去の記事を読んで見たい時にはこちらのタブを
ぜひご活用くださいませ。→こちら
骨がもろい?骨粗鬆症(コツソショウショウ)とは?
骨粗鬆症(コツソショウショウ)とは
平たく言えば
「骨がもろくなる」「骨折しやすくなる」状態と言えます。
年齢などで、骨がもろくなる、原発性骨粗鬆症(原発性骨粗鬆症)の他に、
お薬や別の疾患に由来する二次性骨粗鬆症があります。
●二次性骨粗鬆症の原因
・内分泌疾患・・・・・副甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症
・栄養障害・・・・・ビタミンD不足
・薬剤性・・・・・ステロイドの使用
・その他・・・・・寝たきり アルコール
骨粗鬆症のリスクがある方とは?
上の原因と少し被りますが
・アルコールをたくさん飲まれる方
・タバコを吸う方
・太ももの骨の骨折(大腿骨近位部骨折)の家族歴がある。
・高齢者
・体重が軽い方
・関節リウマチがある
・閉経後の女性
などがあります。
骨密度を測ってみましょう!どんな人が測れば良いか?
骨粗鬆症の評価をした方が良い方はどんな方でしょう。
以下に当てはまるようなら一度骨密度を測ってみると良いでしょう。
①骨粗鬆症が疑われる場合
・軽い怪我や負荷をかけただけで骨折した場合
・背中が丸く曲がっている
・最近、身長が縮んだ。
②スクリーニングとして
・65歳以上の女性
・閉経後の女性
・二次性骨粗鬆症のリスクがある場合
★男性でスクリーニングとして検査した方がいいかは、意見が一定しておりません。
国によっても差があります。
日本では、
・70歳以上の男性
・リスクのある50再以上の男性
は測ってみても良いのでは?と言われています。
今のところ、当院では骨密度測定の機械を導入してません。
なので、お手数かけますが、骨密度の測定は他院にて行なっていただいております。
骨密度の表し方
さて、骨密度とはなんでしょう?
読んで字の如く、骨の密度。
骨密度は、背骨、大腿骨(太ももの骨)、お尻の骨で計測し最も低い値を用います。
記載方法は、Tスコア、Zスコア、YAMという表記方法があります。
・Tスコア・・・25-45歳の骨密度データと比較し標準偏差を評価する方法
・Zスコア・・・同世代の方と比較し標準偏差を評価する方法
・YAM(Young Adult Mean)・・・20−44歳の骨密度と比較してパーセントで評価した値
この中で骨粗鬆症の診断に使用するのはYAMとTスコアが多いです。
骨折リスク評価スケール FRAX(フラックス)とは?
骨密度と合わせて骨折リスク評価スケール、FRAX(フラックス)もご紹介します。
骨の折れやすさは、骨密度以外にも、骨の性質(ミネラルの含有量など)にも影響を受けます。
FRAX(フラックス)とは、2008年にWHOが公表した骨折リスクを評価する指標です。
危険因子を入力し、大腿骨頸部の骨密度(AMD)のデータと組み合わせて、
10年以内の大腿骨近位部骨折、主要骨粗鬆症骨折(脊椎、前腕、股関節部、肩部)の発生リスクがどれほどあるのかを評価することが
できる「個人の骨折リスク」を算出する骨折評価スケールです。
骨密度がわかると計算できますので
以下の計算ツールで、もしよかったらご自分でも見積もってみてください。
→こちら FRAX ®骨折リスク評価ツール
→FRAX ®骨折リスク評価ツール
それでは、骨粗鬆症はどうやって診断している?
骨粗鬆症の診断基準は、下記のフローチャートのように行います。
・椎体(背骨)や大腿骨折(太もも)の脆弱骨折(軽微な外傷や負荷での骨折)がある
・上記以外の場所の脆弱骨折で、骨密度がYAMの80%未満
・脆弱骨折ない場合は、骨密度がYAMの70 %以下
1)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会編.骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年
→こちら
骨量減少とは?
上記のフローチャートをみるとわかるように
脆弱骨折はなく、YAM70-80%の場合、「骨量減少」と評価します。
骨粗鬆症まではいかないけど、、、下記のように骨折の既往やリスクがあるなら
骨粗鬆症と同じ治療を始めます。
治療開始基準は?
治療の適応は、下記のフローチャートのようになります。
・骨粗鬆症と診断された時(上記)
・骨量減少と診断された場合は
・大腿骨骨折の家族歴がある
・FRAXにて10年間の骨折リスクが15%以上の時
1)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会編.骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版.
→こちら
骨粗鬆症の薬物治療にはどんなものがあるか?
骨粗鬆症のお薬は、たくさんの種類があります。
大きく分けて
・ビタミンD+カルシウム
・ビスホスホネート製剤
・PTH製剤(テリパラチド)
・選択的エストロゲン製剤
・抗RANKL抗体
・カルシトニン製剤
これらは、内服、注射など様々な投与経路があります。
また年に1回注射するものだったり、毎日飲むもの、週に1回飲むもの、、、
色々選択肢があります。
値段も効果も様々です。
主治医と相談しながら、生活スタイルや考え方に合わせて、選択肢が広がっております。
各国の診療ガイドラインでは、問題ない限りは
最も骨折予防効果の大きい ビスホスホネート製剤が第一選択です。
ビスホスホネート製剤の注意点
第一選択とされるビスホスホネート製剤ですが、、、
聞きなれないお薬だと思います。
ビスホスホネート製剤は、骨折の歴がある場合の骨折予防に関して効果が期待できます。(二次予防と言います。)
いくつか注意点があります。
①始める前には歯医者さんに診てもらいましょう。
ビスホスホネート製剤の副作用の一つに顎骨壊死といいあごの骨は腐ってしまうことが挙げられます。
お口の中を清潔に保てない、入れ歯があっていないなどが危険因子です。
始める前は、歯医者さんに診ていただき治療を済ませておく必要があります。
②食道や胃は健康でしょうか?
ビスホスホネート製剤は、食道の通過を遅らせる作用があります。
内服は180mlの水と一緒に内服する必要があります。
また内服後は、30分程度座っている必要があります。
また食道狭窄などの疾患がないか、初めに内視鏡検査を勧める場合もあります。
③カルシウム製剤とビタミンD製剤を併用しましょう。
ビスホスホネート製剤はその薬理作用から
血液中のカルシウムの値が下がります。
そのため、カルシウム製剤やビタミンD製剤を併用します。
④3−5年続けたら一度休薬か中止を検討
不思議なことに、ビスホスホネートを5年以上使用すると
かえって、「異形骨折」という通常起きないようなところの骨折を認めることがあります。
このため3−5年をめどに休薬か中止を検討する必要があります。
骨密度のフォローの頻度は?
骨密度は1年に一回をめどに再評価を行うのが好ましいです。
治療しているにも関わらず骨密度が5%/年以上低下するなら治療を変更する必要があります。
お薬以外にできること。
骨粗鬆症の治療はお薬だけではありません。
骨量を減少させないためには
運動をがおすすめです。
週に3回、少なくとも1回あたり30分、体を動かすことができるととても良いです。
骨折はだいたいが、転けてしまって起きるので
転倒予防が大事です。
筋力の維持やバランス感覚が大事になってきます。
太極拳は筋トレとしても良いらしいですよ!
夜間にトイレに行っての転倒が多いことを考えると
頻尿を治療したり、家の中をバリアフリー化、眼科でよく見えるような治療
ふらつく内服の中止など、、、色々できることがありそうですね。
禁煙や節酒も大事です。
いかがでしたか?
今日は、骨粗鬆症についてお話しました。
長くて難しい内容でしたが最後までお読みいただきありがとうございます。
当院では、今のところ骨密度の測定ができずご不便おかけします。
でもご相談にのることは可能ですので、お気軽にご相談くださいませ。
あん奈