HPV(ヒトパピローマウイルス 子宮頸がん)ワクチンの中でもシルガード9(9価ワクチン)について詳しくご説明します。【2023.4追記】

子宮頸がん シルガード9

NEW!!

 

子宮頸がんワクチン HPV9価ワクチンが2023.4月から定期接種、つまり公費負担になるように準備が進められています。これを機に「シルガード9」についても少し詳しくお話ししてみようと思います。

HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)については、以前のブログ記事に詳しく記載していますので、ぜひ、ご参照ください。

 

子宮頸がんとは???

子宮頸がんとは、子宮の出口に近いところにできるがんです。

子宮頸がんになる原因は、上記の通り

HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスが関係しています。

このウイルスは性交渉により感染します。

 

厚生省ホームページ リーフレット

HPVワクチンと子宮頸がん検診どちらも大切

ワクチンで予防し得ない型による子宮頸がんもあるため、早期発見のための子宮頸がん検診もとても大事です。

ワクチン接種と検診二本立てで子宮頸がんから身を守りましょう。

HPVワクチンと子宮頸がん検診の大切さイメージ図

厚生省ホームページ リーフレット

20歳になったら、子宮頸がんを早期発見するために、子宮頸がん検診を定期的に受けることが重要です。

ワクチンを接種していても、2年に1回子宮頸がん検診を受けましょう。

HPVのワクチンの種類について、違いは?

現在日本で使われているワクチンは主に3種類です。

下図のように、それぞれ、同じHPVワクチンでも予防できる型が違います。

シルガード9について

さて、ここからが本題です。シルガード9について、くわしくご説明していきます。

9価ワクチン(シルガード9)と他のワクチンとの違いは?

定期接種の対象となっている2価、4価ワクチンの適切な接種により、子宮頸がんの60-70%の原因となるHPV16,18型の感染は予防できますがそれ以外の予防は難しいとされていました。

この「シルガード(9価)」は9つの型(6,11,16,18,31,33,45,52,58型)をターゲットにしており、WHOでもその安全、有効性が認められ米国、オーストラリア、中国など世界80以上の国ですでに認可されています。

9価ワクチンは普及すれば子宮頸がんの90%あるいはそれ以上の予防が可能となると期待されています。

 

NEW!!

・日本でも2020年7月に認可がおり、今でも自費での接種は可能でした。しかし自費だとどうしても高額になってしまうので多くの方は選択されませんでした。

・しかし、2023.4月から定期接種(公費助成)になりました!!!!

 

接種対象年齢は?

9歳以上の女性が対象です。

★ただし、公費の対象年齢は12歳からです

性交渉によりウイルスの感染するので、可能ならば性交渉歴がないうちの接種がおすすめです。
CDCは26歳までの接種を薦めております。

副反応や安全性は違うのか?

従来のHPVワクチンに比べてシルガード9の方が注射部位の疼痛・腫脹が出やすいことがわかっています。

全身症状の副反応の頻度に差はなく、安全性に関しては従来のものと変わらないとされています。

接種間隔 NEW!!! 2023.4追記

現行ではシルガード9は、初回接種(1回目)の2ヵ月後に2回目、その6ヵ月後に3回目を接種しています。
しかしこのたび9歳から15歳未満であれば2回接種でも良いのではという研究結果が出てきております。

ほぼほぼ、15歳以下は2回接種決定です。
ただ大阪市でどうなるかは、公式文章での決定がまだ出てませんので新しい情報が入り次第またお知らせしますね!

 

シルガード9の接種方法

 

よくあるQ&A

 

ガータシルを2回接種したのですが、3回目は「シルガード9」にしたいのですが? NEW!!

原則として途中でシルガード9に変更することはできません。

各HPVワクチンの互換性に関してはデータがなく、安全性や接種後の有効性も実証されていません。
その為、HPVワクチンは同じ種類で3回の接種でお願いしてました。

しかし2023.4月では、医師と相談して交互接種も可能になりました。→こちら

 

性交渉の経験があれば、子宮頸がんワクチンはもう意味がありませんか?

確かに、HPVワクチンは、すでに感染してしまったHPVを排除する効果や、発症してしまったHPV関連疾患の進行を止める効果はありません。

その為、性交渉未経験のうちに接種を終えておくとワクチンの効果が最も期待できます。

でも、すでに何らかのHPVを有している人でも、全ての型のHPVウイルスにかかっているということは考えにくいのです。
ワクチンにより別の型のHPV感染を予防することは可能ですので、接種の意義はあり、接種期間中の性交渉を禁止することもありません。

 

HPVワクチンの接種に年齢の上限はあるの?

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は26歳まではHPVワクチン接種を推奨しています。
27歳以上については、個々のライフスタイル(性交渉歴など)によって異なります。

HPVワクチンは、すでに感染しているHPVには効果がありません。
接種して以降の新たなHPV感染を防ぐための接種です。

今後新たなパートナーができる可能性がある場合には接種の意義があるといえるでしょう。

 

妊娠してますが、接種できますか? / 途中で妊娠しましたがどうしましょう?

シルガードは妊婦さんへの接種は安全性が確立しておりません。その為、妊娠中の接種は推奨されません。

もし接種途中で妊娠が判明した場合も、続きは出産後まで接種を延期してください。

再開する時は、最初から接種をやり直す必要はありません。出産後に続きを接種しましょう。

 

 

終わりに

さてワクチンをとりまく状況は日々変わります。
当院でもなるべく最新の情報をお伝えしますが、もし古い記事を載せていたら
教えていただけたら嬉しいです!!

 

 

2022.6 初回投稿
2023.3   追記
2023.4  追記