コロナ後遺症について
クリニックでも
コロナウイルスの後遺症による相談事が増えてきております。
生活が変わってしまったり
休学、休職を余儀なくされてしまうこともあり
事の重大さを身にしみて感じております。
新型コロナウイルスは
我々医療者も初めて経験するウイルスで
少しづつ分かってきているものの
後遺症に関しては、まだまだ分かっていないことも多く
手探りで治療にあたっているのが実情です。
『あの人を治したい』
『なんとかこの人に合う治療は?』
日々、新しい治療法とか、他の医師の経験やレクチャーを貪る毎日です。
先日も、KISA2隊という新型コロナウイルスの自宅療養者を支援するチームの主催するオンライン勉強会が開催されました。
日々コロナ関連の新しい情報が出続けております。
知識のアップデートを、図るにはなかなか一個人では難しく
医療者たちも、それぞれの持場で働きながら、協力しあってなんとかこのコロナウイルスについて克服しようと頑張っております。
新型コロナ感染症そのもの
そして後遺症
そしてワクチンについて
皆さま、すごく大変な日々を送ってらっしゃると思います。
一刻も早く心からの笑顔をお互いに見せあえる日が来ますように。
コロナ後遺症とは・・・
コロナ後遺症の定義は色々とありますが定義は様々ですが
コロナ罹患時から、もしくは急性期が一旦落ち着いてから、少なくとも発症から4週間以上経過しても続いている症状
を指すことが多いです。
厚生労働省は「罹患後症状」と呼び、診療の手引きを作成しています
→新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント
どんな症状があるのか?
実にいろいろな症状があります。
新型コロナウイルスは感染する時にACE2受容体というところに結合すると考えられていますが
このACE2受容体は、実に全身の細胞に散りばめられています。
そのためか症状もほぼ全臓器に出ると言えます。
感染症の専門医で、我々医療者が『王』と崇める!?
忽那賢志先生のブログは本当に勉強になります。→こちら
先日のKISA2隊の勉強会でも講師のお一人でした。 是非ここにも詳しく記載されているのでご参照ください。
メカニズムは分かっているのか?
コロナ後遺症がなぜ起こるのかは、まだ解明されてません。
いろいろな原因が考えられています。
・新型コロナウイルスが結合するACE2受容体の異常
・免疫が暴走し、『サイトカイン』という物質が出まくる(サイトカイン・ストーム)
・ウイルスの持続感染
ここらへんにヒントがあるような気がします。
治療は?
メカニズムもはっきりしてませんので
残念ながら
治療法もはっきりしたものは分かっていません。
それぞれの症状に合わせてさまざまな試みがなされています。
コロナ後遺症専門外来をされているところもあります。
しかし、現在専門外来の予約はかなり取りにくくなっているのが現状です。
それだけ、多くの方が悩まれているんだと思います。
当院はコロナ後遺症専門外来ではありません。
でもおそらく、コロナ後遺症はふだんかかっている内科の医師(かかりつけ医)も
一緒になって取り組んでいかないといけないくらい患者さんは多く広がっています。
耳鼻科や精神科の先生方もそれぞれの分野で必死に取り組んでおられることとも思います。
漢方薬、リハビリ(ウォーキングやストレッチ)なども良い効果を期待されております。
またコロナ後遺症は
なかなか証拠になるような
採血データーや画像所見もありません。
証明が難しく
患者さんの辛さをそのまま受け入れて行く必要があります。
ここらへんは、学校や職場の理解が本当に大切になってくると痛感しております。
また、我々医療者は
『これはコロナ後遺症だ!』という
先入観を持たずに診療することも必要になります。
それに
改善してくるには、時間がかかることも分かっています。
患者さんと一緒に気長に向き合っていく必要があります。
おわりに
先日の勉強会で
コロナウイルスが出てきて
医療者と患者さんが、深く話す機会が増えた。
いろいろな想いを抱える方、いろいろな考え方の方がいることを
より感じる。
疫学的な話だけじゃなく、『その方にとって』の話をしないといけない
というような話題が出ていました。
私もそう思います。
それぞれの患者さんが感じていること、悩み、考え方は一人ひとり異なります。
マクロをみるのも大事ですが、お一人お一人に向き合う地道なことが基本だと再認識しています。
すぐにパッと悩みをとれなくて心苦しく思っております。
力不足を感じたり、やるせなさを感じることもあります。
でも、『一緒に乗り切って一緒に心から笑い合いたい』と本当に思います。
あん奈