よくある症状シリーズ 〜体重減少について〜
今日のテーマは、『体重減少』です。
体重に関しては
痩せたい!と思う方も多いと思いますが
一方で
・どんなに食べても太れない
・体重が減ってしまう(病気によることも、そうでないことも)
という方が多いのも事実です。
さて今日は、『体重減少』の中でも気をつけておきたい病気
『体重減少』を主訴に受診された場合の、診察などのおおまかな流れなどについてお話したいと思います。
はじめに。。
体重減少とは???
・まずは
ダイエット目的などで『意図的に』減量しているのかどうか
・また、具体的に
どのくらいの期間でどのくらい減っているのか?
の確認がとても大切です。
そして、『6ヶ月〜1年位かけて元の体重の5%が現象している場合』は重要な体重減少と考えます。
まずは、何科に行けばいいの??
まずは
当院のようなまちなかの『内科クリニック』か
大きい病院にかかるなら『一般内科』とか『総合内科』にご相談ください。
そこで上記のような疾患を想定しながら、問診や身体診察、諸検査を行う中で
疑う疾患の精査のための目的
原因が分かって治療に繋げる目的で
次のステップとして行っていただく(ご紹介する)専門医が異なります。
疾患によって
消化器内科
内分泌内科
神経内科
循環器内科
心療内科
歯科
などなど、多岐に分かれます。
なのではじめからご自分で、決め打ちして、〇〇科!
というのは、医者でも悩みますので難しいかもしれません。
もちろんなんらかの疾患でかかりつけの科があれば
そこでご相談されるのも一つの手です。
『体重減少』で受診すると、何を聞かれるでしょうか?
問診内容を見てみましょう。
体重の減少する理由は本当に様々です。
いろいろな原因で体重は減るので、鑑別診断も多岐にわたります。
なので問診内容もかなり多岐にわたり、いろいろな事をお伺いすることになります。
・意図して体重落としてますか?
・痩せたい気持ちがあるのか?
・運動は増えてますか?
・食欲はありますか?
・口が乾いて水分をよく取ったり、尿が多かったりしませんか?
・歯の問題はありますか?(噛めない)
・すごく疲れやすいということはどうでしょう?
・手が震えたりはしませんか?
・発熱はありませんが?
・寝汗書きませんか?
・お通じはどうでしょうか?
・気分の落ち込みはどうでしょうか?
・アルコールはよく飲む方でしょうか?
・手足の動かしにくさはどうでしょう?
このようなことをお伺いしながら、鑑別診断を振り分けていきます。
医師が問診しながら何を考えているか?
どんな疾患を考えて問診しているか?
医師の頭の中では、おおまかに
・食事量の低下によるもの
・エネルギーをどんどん使い消耗していくもの
・筋肉量が減っているもの
のどれにあたるかな?ということを考えています。
食事量の低下、エネルギーを消耗するもの、筋肉量が減っているもの
と一言で言ってもかなり多くの疾患が含まれます。
【食事量の低下】と聞いて考えること
・食べたくない気持ちがあって食べれない?(神経性食思不振症)
・気持ちの落ち込みがあって食べれない。(うつ病?)
・虫歯が痛くて食べられない/咀嚼できない。(かめない)
・入れ歯の問題(義歯不具合)
・口内炎がある(疼痛のため)
・認知症が進行して食べてない(食べ物への認識、興味の消失)
・アルコール依存で、お酒をのんでばかりで食べてない
・なんらかのお薬による作用で食欲がない
【エネルギーを消耗するもの】と聞いて考えること
・運動量の増加
・吸収できない 下痢する(胃や腸の問題)
・内分泌疾患のためにエネルギー消耗する(甲状腺機能亢進症 糖尿病など)
・何処かに炎症があるため消耗する(感染症 自己免疫疾患 がんなど)
【筋肉量が少なくなっているのでは】と聞いて考えること
・筋肉が萎縮して量がへってくるような病気が隠れていないか(Parkinson病 ALSなど)
このように『体重減少』は
医師にとって頭をフル回転して診察する症状の一つです。
鑑別疾患は?
上記の繰り返しになりますが・・・・
体重が減る病気はたくさんあるので本当に多くの鑑別疾患を考える必要があります。
●よくあるもの
・甲状腺機能亢進症
・糖尿病
・消化性潰瘍
・口の中の問題
・うつ病
・認知症
・パーキンソン病
・なんらかの悪性腫瘍(がん)
・薬剤の影響
●見逃したくないもの
・腸の炎症(自己免疫性腸炎)
・なんらかの感染症
・神経性無食欲症
このように、ほんとうに沢山の疾患を想起しながら診察を進めてまいります。
まず初めにする身体診察や検査は?
クリニックでできること
【身体診察】お体の診察は、上記の病気を念頭に置きながらの診察になります。
・眼瞼結膜に貧血がないか
・腫れているリンパ節がないか
・脈が早すぎないか?(頻脈)
・血圧低すぎないか?
・甲状腺が腫れていないか?
・手が震えていないか?
・口の中に問題がないか? 虫歯は? 入れ歯はあっているか? 口内炎は?
・筋肉の萎縮がないか?
・関節が腫れていないか?痛みがないか?
・パーキンソン病に特有の歩き方はないか
こういった全身の診察になります。
一回の診察で診きれず、繰り返し診察行う場合もあります。
【検査】
当院は、内科、糖尿内科なのでできる検査は限られてきます。
一部は、ご紹介し検査だけ受けてきてもらう場合、検査を含め他院専門の先生に診て貰う場合があります。
●採血
血の検査で分かることはたくさんあります。
・貧血がないか?
・肝臓や腎臓の数値は問題ないか?
・甲状腺機能
・糖尿病は?
・電解質は?
・炎症反応は?
●レントゲン
・肺炎がないかチェックします。
その他の検査として、病態に合わせて当院では下記検査を追加いたします。
●採尿
●心電図
●超音波(エコー)の検査
当院のクリニックでできない検査を調べたいときは
必要によっては、検査のためにご紹介します。
上記のように
問診、身体診察、当院でできる検査から診断がつく場合もありますが
ある程度分かってきた事を掘り下げる検査を行うために
当院ではできない検査をして詳しく調べたい場合はご紹介になります。
・胃カメラ
・大腸カメラ
・全身のCTなど
検査だけしてきていただいてこちらで結果説明できるものと
紹介先の病院で診察もして頂く場合があります。
都度都度ご相談してまいります。
ご紹介先はどこになる??
上記のような疾患を想定しながら
問診や身体診察、当院でできる諸検査で
原因にあたりをつけてから
次のステップとしてしかるべき(ご紹介すべき)専門医が異なります。
消化器内科
内分泌内科
神経内科
循環器内科
心療内科
歯科・・・・・
それぞれの疾患を専門に診る、近隣の病院にご紹介したいと思います。
ご希望や、疾患の急ぎ具合などでも状況は変わりますので
相談しながら、紹介先、紹介スケジュールを一緒に決めてまいれたらと思います。
特別に病気がないならどうすればいいの?
基本的は、大前提として、疾患ごとに治療方法が異なります。
さて、一通りしらべて
特別治すものがない場合はどうすればよいでしょうか?
・食事は少量を頻回にとる
・食事の介助を行う、もしくは誰かと一緒に食べる
・味覚の低下を補うため、食欲をそそるような香りをつける
・高カロリーサプリメントをうまく利用する
こういった工夫が有効なことがあります。
ぜひご相談くださいね。
フォローアップも大事!
原因がはっきりしない場合には、それきりで終わりではなく
また1〜3か月後くらいにフォローする必要があります。
増えているか?少なくとも、下げ止まりになったか確認する必要があります。
おわりに・・・
さて、今日のテーマは『体重減少』でした。
体重に関しての話題は、
とてもデリケートですから
何気なしに『あら?痩せはった??』と聞いたりしてしまいそうになりますが
それで悩んでいる方もおられますので
親しき仲でも体重にまつわる発言をする前には
『本当にそれを口にすべきか』
注意が必要になってきますね。
反対もしかり。。。。
皆さん何で悩んでおられるか
外からはワカラナイものです。
私もまだまだだと思いますが
ちゃんと意識して
声掛けできるように心がけたいと思います。
それではこのへんで。
あん奈