よくある疾患 〜ニキビ(尋常性ざ瘡)〜
今日はよくある疾患シリーズ 〜ニキビ〜 です。
ニキビは「尋常性ざ瘡」というのが医学用語の正式名です。
ニキビで病院を受診していいの?
と思われる方も多いと思います。
ニキビは、立派な治療対象です。
適切な時期に、適切な加療をすることで痕を残さないで治癒できる可能性が高くなります。
ただ、当院は内科です。
ニキビの専門科は、皮膚科、美容皮膚科ですし
皮膚科や美容皮膚科でしかできない治療もありますので
はじめから皮膚科や美容皮膚科の先生にご相談されてもよいです!
ただ思ったより、ニキビで悩んでおられる方が多いので
なんらかのついでに一度当院に受診してご相談くださっても結構です。
そのうえで、必要時に皮膚科に、ご紹介させていただくことも可能です。
今日はニキビについて少しお話します。
ニキビ(尋常性ざ瘡)って何?!
さて、「ニキビ」という言葉は市民権を得ており
我々も日常的によく使っておりますが、あらためまして「ニキビ」ってなんでしょうか?
一言でいうと、「ニキビ」とは、毛穴に起こる慢性の炎症性疾患です。
「慢性」という言葉がついているように
急性期の治療後にすぐ治療を早くやめてしまうと、またすぐ再発し繰り返してしまいます。
このため、急性期を過ぎても、しばらくその状態を「維持」させるための治療が必要です。
維持期に使用したほうがいい塗り薬(後述)を、なるべく長期に塗っていきます。
ニキビはどこにできる?
ニキビはいろんな場所にできるのですが
できやすい場所があります。
年齢によっても、好発部位が変わります。
・おでこ →小学生はここにできやすいです。
・頬
・あご →年齢が上がるとここにも出てきます。いわゆるUゾーン
・背中
・胸
・首
などです。
「ニキビ」とひとことで言いましても・・・
「ニキビ」と一言でいっても、実は様々な病態をまとめて「ニキビ」と呼んでおります。
なので、見た目も治療も様々です。
微小面皰→面皰→炎症性皮疹→ニキビ痕(丘疹/紅斑)→色素沈着
という感じで進みますが、すべてを経るわけではありません。
ひとつずつみていきましょう!
・微小面皰(びしょうめんぽう)
→目で見えず、顕微鏡で見ると見えるニキビのはじまりです。
・面皰(めんぽう)
→微小面皰が進展すると目で見えるニキビになってきます。
【白色面皰(はくしょくめんぽう)】:通称 白ニキビ
毛穴が閉じており、見た目は白いブツブツとした感じです。
閉鎖面皰ともいいます。
毛穴がつまっており、普通の皮膚の色の盛り上がりがぶつぶつと見え
全体に肌がザラザラしているのが特徴です。
【黒色面皰(こくしょくめんぽう)】:通称 黒ニキビ
こちらも同じ面皰なのですが毛穴が開いており、奥ののメラニンが見えて黒く見えます。
開放面皰ともいいます。
大きくなることもあります。
・炎症性皮疹
→面皰に炎症が加わると炎症性皮疹となります。
【赤色丘疹】:通称 赤ニキビ
面皰に炎症が加わると赤みを帯びて押すと痛くなります。
【膿疱】:通称 黄色ニキビ
赤色ニキビがさらに進むと、膿んできます。
黄色い膿が見えます。
抗菌薬(抗生剤)の内服が必要になります。
★★ここまでの面皰の治療薬は下記でまとめて説明します!★★
★★ここからは、いわゆる「急性期」をすぎた「ニキビ痕」です。★★
基本的には皮膚科、美容皮膚科に紹介することが多いです。
・炎症後丘疹
→いわゆるニキビ痕です。
紅〜茶褐色の盛り上がった皮疹です。今後これが下記の色素沈着となっていきます。
●治療
・エピデュオゲル®(後述) ビタミンC トラネキサム酸
・ケミカルピーリング レーザー治療 →皮膚科紹介
・炎症後紅斑
→これもニキビ痕です。
さきほどの丘疹というよりは、赤くなっています。
●治療
・エピデュオゲル®(後述) ビタミンC トラネキサム酸
・ケミカルピーリング→皮膚科紹介
・炎症後色素沈着
→炎症が収まっても経過が長いと、茶色に変色してしまい色素沈着してしまいます。
ニキビの経過が長いほど、色が残ってきえにくくなるので、早めに加療して治したいですね。
●治療は
・エピデュオゲル®(後述)
・ケミカルピーリング ビタミンCイオン導入→皮膚科へ紹介
・萎縮性瘢痕
ニキビの炎症によって皮膚がえぐれてしまい、溝の様になることもあります。
●治療
・レーザー治療→皮膚科
→当院ではできませんので、皮膚科にご紹介します。
・肥厚性瘢痕 ケロイド
ケロイドができやすい体質の方は、ニキビ痕が盛り上がってしまうこともあります。
●治療
・リザベン(ケロイド治療薬)の内服 柴苓湯(漢方)ステロイド含有テープの調布
外科治療
→基本的に皮膚科へ紹介
ニキビの重症度
ニキビはざっくりとですが、程度によって軽症〜最重症まで分けられています。
●軽症:片方のほほに、炎症性皮疹が5個以下
●中等症:片方のほほに、炎症性皮疹が6個〜20個以下
これ以上の重症度には内服抗生剤を入れても良い
●重症:片方のほほに、炎症性皮疹が20個〜50個以下
これ以上の重症度には自費診療の併用も検討
●最重症:片方のほほに、炎症性皮疹が51個以上
ニキビの治療は?
ニキビの治療は「保険診療」と「自費診療」があります。
「保険診療」では下記のような塗り薬、のみ薬があります。
「自費診療」は、ケミカルピーリングやイオン導入、レーザー治療などがあり皮膚科、美容皮膚科
で主に行われます。
当院は
「保険診療」でできる範囲での診療になります。
「自費診療」は、行っていないので
自費診療での治療内容が希望時や必要時は、皮膚科、美容皮膚科にご紹介になります。
●面皰治療薬(根本治療)→ニキビ治療の基本
①アダパレン(ディフェリン®ゲル)
出典:ディフェリンゲル0.1%. マルホ株式会社. https://www.maruho.co.jp/medical/products/differin/index.html
・微小面皰も抑制する効果があります。
・皮膚刺激症状あるが2週間位経つと良くなってくるので
はじめは少しずつ気になる所から塗って
範囲を広げましょう。
・注:妊婦さんにはダメ!!!
②過酸化ベンゾイル(ベピオゲル®)
出典:ベピオゲル2.5%. マルホ株式会社. https://www.maruho.co.jp/medical/products/bepio/index.html
・ピーリング効果があるので
皮が向けたりします。
強く塗り込まないようにしましょう。
③クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル配合剤(デュアック®配合ゲル)
出典:デュアック配合ゲル. サンファーマ株式会社. https://jp.sunpharma.com/medicalmedicines/product/detail/11910.html
・抗生物質入りの塗り薬です。
・つまり、炎症性皮疹に効果あります。
・抗生剤は耐性菌の問題から、12週の継続使用が限度となります。
④アダパレン/過酸化ベンゾイル配合剤(エピデュオ®ゲル)
出典:エピデュオゲル. マルホ株式会社. https://www.maruho.co.jp/medical/products/epiduo/index.html
・上の①、②をあわせたものです。
・維持期で使用すると、瘢痕形成のリスクが減ります!!
・できる限り長期に続けて塗ることで再発を防ぎましょう。
・皮膚が乾燥する場合は保湿剤も併用していきます。
・注:妊婦さんにはダメ!!!
●外用抗菌薬:抗生剤のぬりくすり
注)外用抗菌薬だけで塗ることは避けましょう!!基本的には面皰治療薬と併用です。
①グリンダマイシンゲル/ローション(ダラシン®T)
出典:ダラシンTゲル1%. 佐藤製薬株式会社. https://www.sato-seiyaku.co.jp/newsrelease/2006/060301/
②ナジフロキサシン(アクアチム®)クリーム/ローション
出典:アクアチムクリーム1%. 大塚製薬株式会社. https://www.otsuka-elibrary.jp/product/di/ac1/index.html
出典:アクアチムローション1%. 大塚製薬株式会社. https://www.otsuka-elibrary.jp/product/di/al1/index.html
③オゼノキサシン(ゼビアックス®)油性クリーム /ローション
出典:ゼビアックス油性クリーム2%. マルホ株式会社. https://www.maruho.co.jp/medical/products/zebiax/index.html
出典:ゼビアックスローション2%. マルホ株式会社. https://www.maruho.co.jp/medical/products/zebiax/index.html
★面皰治療薬との併用方法
・アダパレンと塗る場合:夜にアダパレン塗ったあとに炎症部分に重ね塗り
・過酸化ベンゾイルと塗る場合:朝に炎症が起きている部分に抗菌薬、夜に過酸化ベンゾイル
●内服抗菌薬:飲む抗生剤 ひどい炎症がある場合
炎症がひどいときは、抗生剤を内服してもらうこともあります。
●漢方薬
ニキビ治療に効果のある漢方薬もあります。
一部だけ紹介すると
●荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)
出典:ツムラ荊芥連翹湯. 株式会社ツムラ. https://medical.tsumura.co.jp/products/kampo/050.html
炎症がひどいときに
●清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)
出典:ツムラ清上防風湯. 株式会社ツムラ. https://medical.tsumura.co.jp/products/kampo/058.html
男性の油っぽいニキビに
●十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)
出典:ツムラ十味敗毒湯. 株式会社ツムラ. https://medical.tsumura.co.jp/products/kampo/006.html
初期のニキビに。まずはここからスタートでも
●桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)
出典:ツムラ桂枝茯苓丸加薏苡仁. 株式会社ツムラ. https://medical.tsumura.co.jp/products/kampo/125.html
月経周期で悪化するニキビに
漢方については、体質全体を診てからオススメしていくので
その都度相談しましょう。
ニキビが悪くなるのは、どんな時?
ニキビは、生活ともとても関係あります。
・ストレス
・寝不足
・汗
・食生活の乱れ(チョコ 揚げ物 ファストフード)
・月経周期
・メイク
そういった生活習慣の見直しも治療と同じくらい大切です。
おわりに
いかがだったでしょうか?
ニキビは立派な治療対象です。
当院も赤ちゃんからご年輩の方まで受診されるクリニックですので
思春期の子たちも受診してくださるようになりました。
ニキビで悩んでいる方は多いです。(もちろん大人の方も)
診察させていただいて
なかなか治りが悪い場合には適切な時期に皮膚科にご紹介させていただきます。
こんなことで受診してよいのかな?
と思わずにぜひご相談ください。
あん奈