よくある疾患シリーズ 〜急性虫垂炎(いわゆるモーチョーは盲腸の病気ではないんです!)〜

皆様

こんにちは。

山本 あん奈です。

寒くなってきましたね。

急に。

この急激な温度変化で体調を崩されませんように。

 

 

アンナリスペクト

 

さて私は、クリニックでは主に

急性疾患を担当してます。

 

このブログでは

少しづつ私が普段よく診ている「よくある疾患 (common disease) 」シリーズ

についてまとめております。

 

もちろん

当院で診察させていただいた場合

患者さんお一人お一人に

診断をお伝えした後で

しっかりその疾患のご説明をさせていただこうと思いますが

聞き逃したり、

繰り返しお聞きになりたいときに

ご自分のペースでいつでも見れるように

コツコツ書き溜めて行こうと考えております。

今後「よくある症状からシリーズ」

書いていく予定です。

ゆっくりお付き合いいただけたらと思います。

さて今日は、急性虫垂炎です。

右下腹部を痛がる人の模型

 

 

 

・急性虫垂炎

どんな疾患か

 

虫垂炎とは?

虫垂炎とは、虫垂に炎症が起こる病態です。

どういったことが原因で炎症が起こるのでしょうか?

よくあるのは「糞石」といって便が化石化したものが詰まってしまい、そのことで虫垂という腸が詰まってしまうことで炎症が起きます。

稀に腫瘍が虫垂の出口を塞ぐことにより虫垂内部で細菌が繁殖して発症することもあります。

 

 

ところで、虫垂はどこにあるのでしょうか?

「虫垂」というのは、大腸の一部であり、右下腹部にあります。

細い小さな管状の臓器です。

一般的には「もうちょう」として知られていますが、厳密には「盲腸」の炎症ではなく、盲腸より飛び出している

「虫垂(ちゅうすい)の炎症」です。

 

虫垂の場所

おへそと骨盤を結んだ線を3等分し

一番外側(骨盤側)の点を抑えてみてください。

だいたいそのあたりになります!

 

症状は?

症状は右下のお腹が痛いというものですが

典型的には

初めはみぞおちの痛み、むかつきがあり

それが1日ぐらいで右下腹部に痛みが移動すると言われています。

炎症が進むと、お腹が突っ張って歩きづらくなったり

下腹部からお腹全体に痛みが広がり歩くと響くような感じが出てきます。

食欲がなくなり、嘔気や嘔吐する方もおられます。

発熱することも多いです。

 

 

好発年齢は?

10~20歳代に多いですが、全年齢層で見られます。

 

 

 

 

診断はどうやってつけているか?

 

(問診では)

大切なのはやはり問診です。

右のお腹は痛いか?

初めは、みぞおちが痛くなかったか?

吐き気は?

こういったことを聞いて参ります。

 

このスコアが、よく使用されます。

MANTRELS score

(身体診察)

次にお腹の診察をしていきます。

お腹の音はちゃんと聞こえるか?

押さえて痛いかどうか?

押さえた時と離した時にどちらが痛いか?

ガチガチにお腹が硬くなってないか?

そんなところを見ていきます。

 

(画像検査)

当クリニックでは、超音波(エコー)の検査をします。

この検査自体は、痛い検査ではありません。

ただ微妙な腫れは超音波でははっきり分からない事もあります。

大きい病院では腹部CT検査が有用になります。

 

(血液検査)

血液検査も有用です。

炎症所見が高くないか見ていきます。

 

 

 

 

治療はどうするのか?

治療法は?

虫垂炎の治療方法は大きく2通りあります。

  1. 抗生物質による治療
    初期段階であれば、いわゆる「散らす」ことができます。
    ただし、この場合は虫垂は残ってますから、再発することがあります。
  2. 手術
    根治治療法です。腹膜炎を起こしている場合は手術が必要です。繰り返す恐れがある場合も手術をお薦めします。                  抗生物質で炎症を落ち着けてからの手術になることもあります。

 

どんな手術になのか?

以前は開腹手術が多かったですが、現在では小さな傷で済む腹腔鏡手術が一般的になっています。

 

私たちのような一般の内科のクリニックにとっては「いつ外科に紹介するか?」そのタイミングがとても大事です。
また、初めは、「胃腸炎」と診断されることも多い虫垂炎。皆様に、こうなったら虫垂炎かも?と思っていただけるよう受診された際は一緒に虫垂の場所も確かめていきますね!

 

 

それでは、風邪をひかれませんように。

心も、体も穏やかに過ごせますように。

 

あん奈