生物心理社会モデル(BPSモデル)について

こんにちは。やまもとよりそいクリニックのあん奈です。

今日は生物心理社会モデル(BPSモデル)のご紹介について話したいと思います。

・生物心理社会モデル(BPSモデル)のご紹介

さて、今日は、生物社会心理モデル(BPSモデル)というものをご紹介したいと思います。

BPSとは、

B:Biomedical 体/疾患の事

P:Psychological 心の事

S:Social 社会的な事

の頭文字です。

1977に、精神科医であるジョージ・エンゲルさんが提唱した考え方です。

生物心理社会モデル(BPSモデル)の図

人はどういう状態が健康と言えるでしょうか?
おそらく、体の事、心の事、社会的な事において安定していないと「健康」とは言えないと思います。

例えば、

・疾患のために一日何万円もするお薬が必要な状態で働けなくて金銭的な不安がある

・何らかの症状があって、受診し、一通り検査して何も見つからなかった。症状は残っているのに。

などは、「健康」でしょうか?

また、色々な問題点というのは、
これはB、これはP、これはSの問題ですね!と割り切れるものでもありません。
それぞれのベン図が重なる部分の問題(体と心が絡み合っている)なども存在し
またそのベン図の外側にあるような医療者側の問題(体制など)なんかも複雑に絡みあい
最終的にベン図の真ん中のコアな問題が現在起きているわけです。

なので、医師が体/疾患だけを診ていても、問題解決には限界があるでしょう。

また社会的な問題
例えば、要介度がどうだとか、キーパーソンがいないといった問題を
ケアマネさんやご家族だけが悩んでいても解決には限界があると思います。

そこで「今、そこにある問題」を解決するには
現場を見ている、ご家族、ケアマネさん、看護師さん、ヘルパーさん、と医師など寄り集まって
多職種連携して現状をBPSモデルに照らして同じ土俵で話し合い
解決策を皆さんで練る必要があります。

 

例えば

75歳 女性 軽度認知症。
心房細動という不整脈で血栓形成 脳梗塞で左半身麻痺(B)
車椅子状態で日中独居(S)
訪問系のサービスもデイサービス入も嫌がるが(P)
日中水分を取らない事で、脱水気味でまた脳梗塞の危険がある(B)
水分は冷えているものしか飲みたくない(P)
冷蔵庫を開けられても、コップについだりペットボトルの蓋は自分では開けれない(S)

という方がおられたとします。(私が実際に担当した方を少し変えております。)

きっとBしか診ないでいると
「水分とってもらわないと脳梗塞再発リスクは上がるでしょう」
と医師は正論をいうだけ

ケアマネさんは
「サービス入れさせてくれないからお手上げです」と思うでしょう。

家族も「本人が嫌がるならどうしたらいいのよ」と思うかもです。

にっちもさっちも行かないかと思われました。

 

 

でもみんなでこのBPSシートに書き込んで
「どうしたら良いでしょうね??」と本人も交えて、家族も交えて話し合った結果

「冷蔵庫の最下段にペットボトルの蓋を開けた状態で水分を入れる!」という事で
みんな折り合いが付きました。

 

開けたペットボトル

 

 

診察室で悶々と考えていても答えは出なかったですね。

ちょっと色々簡略化して書いてしまいましたが、、、、、、

色々な角度からみんなで打開策を考える事。。。。
思いもしない解決策が見つかることが多いです。
医師が体だけ診ていても解決できません。
その方を取り巻く皆さんと、
医学的な事実を提示しつつ
現場のリアルを頭に置きつつ相談して
その人だけのテーラーメイドの解決策を毎回考える必要があります!!

同じ疾患の人はたくさんいても、全く同じBPSの人はいないわけです。
(これを『病(やまい)』と家庭医療では言います。)

これについてはまたお話したいと思います。

今日は、家庭医療の基本、BPSモデルについてのお話でした。

またこの様に家庭医療の考え方を、なるべく噛み砕いてお話して参りたいと思っております。
ご興味ある方はお付き合いよろしくお願いいたします。

良い一日を。

あん奈