家族を診るということ。
こんにちは。
12月。クリスマスですねえ。
クリニックも控えめながらクリニック仕様になりました。
一年を通して、たくさん楽しいイベントが散りばめられており
それを辿って行くと
今年も一年無事に終えることができるということを
とても楽しく、素敵で、そしてありがたいことと思います。
うーむ。夜撮影した方が綺麗だったかな?
家族を診るとは。。。
さて、クリニックにはご家族みなさんで通われている患者様もたくさんおられます。
家庭医は、家族を丸ごと診せていただけると色々なことが複合的に分かってくるのでとてもありがたいことです。
以前にこんなブログを書きました。
家庭医の目線。家族の木という考え方→こちら
何度も登場するこの図ですが
家庭医が興味を持って診ている範囲は
その患者さんだけではありません。
その方を取り巻くもの、家族や住んでいる地域、その方の受けている福祉サービス
(ケアマネさんは誰? 訪問看護ステーションはどこ? デイサービス行ってる?)
そういったことは、深くその方の健康に関わって来ます。
家庭医療を学ぶ中で
「家族志向ケア」という単元は外せない大きなパートになっております。
参考文献:松下明監訳.家族志向のプライマリ・ケア.シュプリンガー;2006.
(出典:The Family in Medical Practice A Family Systems Primer Editors: Crouch, Michael A., Roberts, Leonard (Eds.) )
松下明先生の翻訳された「家族志向のプライマリ・ケア」という本は
私たち家庭医にとったらバイブルのようなものですが、その中でこのように書いてあります。
McDaniel らは家族志向のケアの原則を以下のように まとめていています。(一部図など挿入し改変)
1) 生物・心理・社会的なプロセスの中で患者さんを理解する2) 家族という枠組みの中で患者の医療に焦点を当てる①家族は患者の健康に関する考えや行動を決定付ける
②家族ライフサイクルの移行期にはストレスが身体症状としてあらわれる
(例)子供が巣立つ時期の母親は心身のバランスを崩しやすい
③身体症状は家族の機能を保つために存在することがある
(例)子供が喘息発作を起こすことで夫婦喧嘩を止めさせることがある。
④家族は患者にとって貴重な「資源」であり、治療において強力なサポートとなうる
(例)糖尿病の食事や内服管理で家族の協力は絶大な効果を示す。
3) 患者、家族、医師が治療のパートナーを築く
4) 医師も治療システムの一部に組み込まれている
(客観的な立場と思っていても実際には患者・家族の関係に巻き込まれているものである。)
家族というのは
一緒に住んでいる、住んでいない
仲がいい、疎遠などはあまり関係なく
お互いなんらかの心理的、身体的影響を及ぼしあっています。
その方お一人診ていても解決しないこと
その方お一人だけ診ていても見えてなかった部分。
双方の話を聞いて「なるほど!そういうことだったのね!!」と分かることもたくさんあります。
・巣立ち 未婚の若い成人
・結婚により家族に参加:新しいカップル
・小さな子供のいる家族
・思春期の子供のいる家族
・子供を巣立たせ次の段階に移る
・晩年期の家族
家族がどのライフサイクルにいるのかで、抱えやすい問題も異なり、必要なケアやサポートも異なって来ます。
以前私が勤めていた、ファミリークリニックは
家族で一冊のカルテでした!!
私もカルテに「〇〇さんの長女さん」とか「〇〇さんの祖父」とつながりを可及的に聞くようにしてます。
意外なつながりに時間差で気づいて
「おお!!!そうなんだ!!!」と思うことも多々あります。
そうやって、この西成区玉出地区付近のことを深く深く知っていって
こんな方々が住んでいるところなんだなあ
というのを肌で感じて行くこと
家庭医の醍醐味です。
これからも少しづつ
みなさんにとって、
ここに居て当たり前と思ってもらえる地域に馴染んだ「やまもとよりそいクリニック」
そして
あってよかった「やまもとよりそいクリニック」になって参りたいです。
いつも、当クリニックにお体のこと、お心のこと、社会的なこと、任せてくださる皆様。
本当に感謝してます。
これからも宜しくお願い致します。
あん奈