総合医と専門医はどっちも大切。患者中心の医療。そして、セッティングによる違いも。
こんにちは。
暑い日が続きますが
疲れておられないでしょうか?
コロナ感染の急拡大も本当に、疲れてしまいますね。。。
さて突然ですが
みなさんは、
総合医という医師と専門医という医師の仕事の違いは何となく分かるでしょうか?
医師と一括に言っても、いろいろなところを診ている医師がいます。
総合医(ジェネラリスト)とは・・・
その人全体をマクロに診るという医師は、一般的に 総合医(ジェネラリスト)と呼びます。
以前に
家庭医の目線。家族の木という考え方
というブログを書きました。→こちら
その時に用いた図をもう一度再掲します。
この図の中で、特に「個人」に焦点を置いて、臓器にこだわらず、全人的に診る医師をジェネラルスト
と呼びます。
ここらへんの用語の説明は、なかなか難しく
すこしニュアンスのちがいがあるかもですが
誤解を恐れずに言うと、
そのように考えております。
ジェネラリストの中でも、たびたび出てくる「家庭医」とは・・・
少し寄り道しますが、、ジェネラリストの中でも
この緑の四角で囲った部分を大事にしている医師を特に「家庭医」といいます。
個人を取り巻く、家族、地域、そして日本全体の医療制度など
ものごとを個人を超えてもっと大きな視点で診たいなあと思う医師たちです。
家庭医の先生たちは、このBPSモデルにあるように
体のことだけではなく、心理的なこと、社会的なことも
健康にとても深く関わっていることを
すごく実感しております。
なので、ただ「体」のことに注目するだけでなく
いろいろ世間話のような会話を患者さんと交わしながらその方のことを深く知ろうとしていきます。
いわゆる昔ながらの「まちのお医者さん」は家庭医と特別名乗っていなくてもこういう役割を果たしていたように思います。
一方、専門医(スペシャリスト)とは・・・
一方で、やはり、「体、病気」にこだわる医師の存在もすごく大事です。
一般的に、「医師」というと、むしろ最近はこちらを想起する方がほとんどかもしれません。
上の図の赤の部分といえるでしょうか?
もちろん、専門医の先生が、その患者さんの家族やその地域に興味がないというわけではありません。
そういうことではなくて
ある分野について
最新の情報もよく知っていて
技術が必要な分野であれば(手術とか手技を要するもの)その技術の習得に鍛錬して。。。
いうなれば
「ある分野に、深く、尖っていく」イメージです。
これも誤解を恐れずに言いました。。。
患者さんにとって
どちらも本当に必要な存在だと感じております。
さて、患者さんにとって
自分のことを全体的に把握している医師と
特別な〇〇という疾患について通う医師が両方いることは
とても理想的なことです。
そして、その患者さんを取り巻く医師同士が連携しあっていることが
患者さんにとってはとても大切だと感じております。
もちろん、専門的な視野での疾患がなければ総合医(ジェネラリスト)の先生だけでもいいのかもしれません。
私の場合は・・・
私は、家庭医なので
患者さんの全体的なこと、ご家族のこと、地域とのつながり
そういうことにすごく興味があります。
普段の血圧は?体重は?
いつもの心電図は?
最近風邪をいつひいたか?
食生活は?運動習慣は?
ご家族は?
健康感や死生観は?
最近の検診の状況は?
どんな社会福祉サービスを利用していてケアマネさんは誰か?要介護度は?
などなど・・・・
私は、手術はできませんし、目の中は診れません。
自分の範疇をこえる皮膚疾患もあるし、胃カメラもしてません。
そしてクリニックにはCTやMRIなどといった大掛かりな機械はありません。
必要な時に、必要な専門医の先生にご紹介したり
必要な検査を大きい病院に受けに行ってもらって画像を頂いたり
その情報を専門医の先生方とやりとりしてます。
産婦人科、眼科、皮膚科、循環器科、消化器内科、整形外科・・・・
各スペシャリストの先生との連携はわたしにとってすごく大切な診療の一部です。
頂いた情報をまた統合して
その方のことをまた深く知っていくことができます。
患者中心の医療という考え方
さて家庭医療の考え方のなかに
「患者中心の医療の方法」というモデルがあります。
私が家庭医の後期研修のとき
この図をなんども何度もくりかえし習いました。
「患者中心の医療」というと
理念とか抽象的なイメージですが
そうではなくこれにはれっきとした手法(スキル)があります。
なのでその手法(スキル)は人に教えることもできるし、
習得することもできると教わって来ました。
そして、そのスキルを主にオレンジホームケアクリニックという福井県の在宅クリニックで
後期研修の間に学んできました。→オレンジホームケアクリニックのHpはこちら
この図を説明しだすと
結構な時間がかかるので
これはこれだけで
また別ブログでご説明しようと思います。
ただ、この図の中で私が気に入っているのが
5 患者・医師関係を強化するの部分です。
専門医の先生に相談(紹介)してある程度の方向性が見えてから
また逆紹介いただいて処方を継続したり
手術を終えて帰ってきたりして
「一緒にある疾患を乗り越える」たびに
患者さんと医師のなかにはある種の協力関係ができる気がします。
私は、そういったこの総合医、特に家庭医の仕事が
すごく好きですし、自分にとても合っているように思います。
でも、セッティングが違えば・・・
かくゆう私も
働くセッティングが異なれば、
その場その場に合わせた働きを意識しております。
開業してからも
今まで勤めていた病院の救急室で働く日もあれば
医師会のお仕事として単発で「夜間・休日診療所」で働くこともあります。
病院では、CTもすぐ撮れますし
初めてお会いする患者さんがほとんどです。(かかりつけ患者さんじゃない)
次回は私でない医師にフォローをお願いすることがほとんどで
ときには、地域の開業医さんから、検査を依頼される立場でもあります。
その場合に、根掘り葉掘り、死生観などを聞く時間はないですし(笑)
もちろんその立場ではないです。一刻を争う状況でそんなの聞きだしたら怪しいかも・・ですね。
そのときは、救命や身体的な問題点の追求や処置に徹しております。
自分の中のポリシーとしては
その日、その時間だけを一期一会位で預かる医師として対応したとしても
突然その場にその人が現れたわけでなく
私の目の前にお会いするまでに歴史や流れがあるわけですから
なるべくその流れそぐう形で診察するようにしてます。
その一瞬は誠心誠意その時に起こっている問題に取り組みながらも
その診察終わりには既定路線にうまく戻れるように(もとのかかりつけさんとの関係性であったり)
意識してます。
その大きな流れを邪魔しないようにというか・・・・
そしてその時私の頭の中には、YYCのかかりつけの患者さんが、私の紹介で大きな病院で色々検査を受けるときのことに想いを馳せております。
私の大切な患者さんたちが大きな病院で、検査なり、診察なりを受ける際に
「こんなふうに接してもらえてたら嬉しいな」と思う態度をとるように心がけております。
まあ、つまり何が言いたかったかですが・・・
いろいろ話してきましたが
いろいろな医師がいて
それぞれのセッティングで
それぞれがんばっています。
わたしは、その中でも
やまもとよりそいクリニックで患者さんお一人お一人に寄り添っていくことが
とてもありがたく、幸せだなと思っております。
そしてすごく好きなことです。
定期の患者さんの診察では
本当に元気を逆に頂いております。
ありがとうございます。
こクリニックに来てくださる患者さんの
人生の中に「主治医」として関わらせていただけるなんて
本当にすごくありがたいことだなと思います。
そのことを心してこれからも、精進して参りますね。
ぜひ、これからもよろしくおねがいいたします。
今日は、総合医と専門医はどっちも大切ということ、患者中心の医療とは?そして、セッティングによる医師の働き方の違いについてお話しました。
お付き合いありがとうございました。
あん奈