よくある疾患シリーズ 〜過換気症候群とは?〜
皆様
こんにちは。
山本 あん奈です。
コロナがようやく収束の兆しを見せており
まだ安心できませんが
やはり嬉しく思います。
当クリニックのコロナワクチンも10月で終了です。
希望される方はお早めにご予約お願いします。
また、引き続き感染対策を続けて参りたいと思います。
いつか「あの時は本当に大変だったね!マスクをずっとしてさあ〜!」と
マスクなしで笑い合える日を迎えたいです。
皆様のマスクなしの笑顔がみたいなあと思うこの頃です。
さて私は、クリニックでは主に
急性疾患を担当してます。
このブログでは
少しづつ私が普段よく診ている「よくある疾患 (common disease) 」シリーズ
についてまとめております。
もちろん
当院で診察させていただいた場合
患者さんお一人お一人に
診断をお伝えした後で
しっかりその疾患のご説明をさせていただこうと思いますが
聞き逃したり、
繰り返しお聞きになりたいときに
ご自分のペースでいつでも見れるように
コツコツ書き溜めて行こうと考えております。
今後「よくある症状からシリーズ」も
書いていく予定です。
ゆっくりお付き合いいただけたらと思います。
さて今日は、過換気症候群についてです。
・過換気症候群
どんな疾患か
不安や緊張に襲われて、突然胸が苦しくなったことはあるでしょうか?
息を吸っても吸っても、酸素が入ってこないような気がして慌ててなんども息を吸い込んでしまい
そのうち手足がしびれてきたなどの経験はありませんか?
心臓もドキドキしてしまうかもしれません。(動悸)
なかには、めまいや胸痛、けいれんを起こしたり意識を失い倒れたりすることもあります。
過換気症候群は、そういう症状や経過で受診されます。
背景には不安、恐怖を伴ったストレスがあります。
そのほかには、マラソンなどスポーツの直後にもなります。
睡眠不足などの肉体的疲労からも起こります。
脳の中にある呼吸中枢が過剰に刺激されるため、呼吸が速く・短くなります。
過剰な換気を起こすと、血液中の二酸化炭素が呼気中に多く出されて、血液がアルカリ性に傾いてしまいます。
それで様々な症状が出てしまうのです。
好発年齢は?
とくに10~20代の若い女性に多く見られますが、男性や高齢者でも起こることがあります。
30%の人は、初めてではなく過去にも同様の発作があったという方がいます。
高齢者で初めての発作です!という時はその裏に大きな病気が潜んでないか
要注意して診て参ります。
診断はどうやってつけているか?
(問診)
典型的な、症状や経過は上記のようなものです。
過呼吸、呼吸困難、四肢の痺れ、動悸など、、
(身体診察)
呼吸はハアハアと過呼吸状態で
指に挟んで、酸素を見る機械では(酸素飽和度は)100%を示すことが多いです。
自然に、安心してきたら症状が落ち着いてきます。これも大きな特徴です。
身体診察では
他の大きな病気が隠れていないか見抜くことがポイントです。
また、なんでこの過換気状態に陥ったか?
その原因が大切です。
(画像検査)・(血液検査)
確定診断するためには
本当は動脈血液ガスを調べたりしたり、そのほかに問題がないかを調べた方が良いとされてます。
治療はどうするのか?
治療法は?
ほとんどの場合、発作は時間とともに治まってきます。(数十分単位です。)
一番の大きな治療は安心して
ゆっくり呼吸をしていただくような声かけです。
もし身近な人が過換気発作を起こしてしまったら
介助する時は、速くなった呼吸を整えるために、ゆっくり背中をさすってあげると効果的です。
症状が改善したら帰宅していいか?ですが
原因がストレスから来るものであれば
そちらの根本的な解決を探らないといけないかもしれません。
うつ病やパニック発作の兆候がないか診察させていただきます。
必要があれば専門医をご紹介させていただきます。(心療内科など)
自分なりのストレス解消方法(音楽を聴いたり、美味しいものを食べる等)を見つけて、リラックスする時間を持つことも大切ですね。
★★紙袋をかぶせる治療はしません★★
以前は紙袋を被せて吐いた二酸化炭素を吸わせようとする「ペーパーバッグ法」がいいとされていました。
しかし実際には、繰り返し行っても二酸化炭素の濃度はさほど上がらず、逆に酸素濃度が低下し、酸素不足になり、窒息する可能性があります。
なのであまりオススメできません。
過換気症候群(過換気発作)はすごく本人にとって怖いものです。
あとは、その前後で「こころ」も弱っていることが多いです。
まずは「大丈夫ですよ!!!」と安心していただきたいです。
そして落ち着かれたら
今後のことを一緒に考えましょう。
実際はあまりクリニックではなく
大きな病院に救急搬送されることが多いと思いますが
私は、クリニックのお休みの水曜日の午後は、大きい病院の救急室で勤務してますので
過換気発作の方を診療することが多いのでとても身近に感じます。
もしどこういう症状が、突然出てきたら
この記事を思い出して
ゆっくり深呼吸をしてみてくださいね。
絶対、大丈夫ですから。
あん奈