よくある症状シリーズ 〜不眠についてまとめてみました〜

みなさま。久しぶりによくある症状シリーズです。

今日は不眠について取り上げます。

実はこの記事は、結構前から温めておりましたが

ようやくUPできる状態になりました。

内容もやや難しかったですし、

うちの自慢のクリエーターさんであるTさん(兼、マネージャー、兼、広報、兼SEさん兼・・・・本当に多彩なお方です。)

に私のイメージする図をイラストにしていただいて

なんどもイメージ通りになるまでディスカッションをしながら

創り直していただいたりして

ようやくイメージ通りに出来上がりました。

Tさんいつもありがとうございます。

 

さて、「不眠」「眠れない」という症状、、、、、

みなさまも、経験された方は多いのではないでしょうか?

そもそも、「眠る」って実はすごく難しいんですよね。。

あまり皆さま意識されてないと思いますが

色々な条件をクリアしないと眠れないものなんです。

 

たまにならいいんですけど、

毎日だと、かなりお辛いですよね。。。

当クリニックにも、「不眠」の症状で受診される方はたくさんおられます。

 

不眠症のパターン

さて一言で「眠れない」と言ってしまっても実はその内容は様々です。

不眠症にはいくつかのパターンがあります。

・入眠困難・・・寝付けない

・中途覚醒・・・途中で起きてしまう

・早朝覚醒・・・早く目が覚めてしまう

・熟眠障害・・・寝た気がしない。

このパターンが、いくつか組み合わさっていることもあると思います。

不眠症のパターン

不眠の原因

先ほども書きましたが

眠るって実は本当に、すごく難しいことなんですよね。

色々な条件がしっかり噛み合わないと眠れないのです。

 

なので、不眠症の原因はいろいろ挙げられます。

・生理的なもの

・睡眠リズムの問題

例えば夜勤などシフトスケジュールで

お仕事の方は、日によって眠る時間が違います。

そんなに器用に、「はい!寝て!」「はい!起きて!」っていうのはかなり難しいことです。

医療界では、医師もそうですが、看護師さんをはじめそのような勤務の方がたくさんおられます。

長距離バスの運転手さんや、コンビニの深夜勤務の方、工場の方。。。

本当に頭が上がりません。

このリズムの問題で眠れないという事は、皆さんなんとなく経験があると思います。

夜更かししたら朝眠い、いっぱい寝たら夜眠れない。。。という風に。

 

・環境変化

明るすぎる、うるさすぎる、暑すぎる、寒すぎる!!といった

環境が整ってないのも眠れないですよねえ。

夜勤明けの方は昼間に眠ることになりますが、明るすぎて眠れないというのも関係してきます。

 

・身体疾患が原因

もちろん、疾患として眠りを妨げるものもあります。

例えば睡眠時無呼吸症候群むずむず脚症候群という病気を聞いたことがあるでしょうか?

こういった疾患で眠れない、熟眠感がないということもありますし

今、何かの疾患にかかっていてその症状で眠れないなんてこともあります。

掻痒感(かゆい)、痛い、下痢している、頻尿(良くトイレに行く)があるなど。

こういう場合は、それぞれの疾患の治療なしでは不眠は改善しません。

その病気や症状の治療を優先させる必要があります。

 

・精神的な疾患が原因

体と同じく、心の不調ももちろん眠れなくなります。

心配事があって眠れないという経験は誰しもあるのではないでしょうか?

「不眠、眠れない」という訴えで来られる方の中に

最終的には「うつ病」などの診断がつく場合もあります。

この場合も、安易に睡眠薬の処方をするのではなく、根本治療が必要です。

 

・その他(お薬、アルコール、カフェイン、スマホの刺激など)

そのほかにも

興奮するような系統のお薬だったり

コーヒーなどカフェインの取りすぎも眠れなくなります。

一つ注意しておきたいのは眠る前に、眠るためにアルコールを飲む方は多いですが、

アルコールは眠たくなるのですが、睡眠の質は悪いと言われております。

なので、アルコールの力を借りないと眠れないというのも不眠症の一つと言えます。

また寝る前に習慣でスマートフォンを触りながら眠る方もいると思いますが

実は、スマホで色々刺激的な情報を取り入れることも脳が活性化して眠れなくなってしまいます。

 

こうしてみてくると

やっぱり、「眠る」ってかなり高度な技ですねえ。

眠れない=すぐ睡眠薬???

さて、じゃあ「眠れない」時はどうしたら良いのでしょうか?

眠れない=すぐ眠剤(睡眠薬)処方で良いでしょうか??

実は、そうではありません。

上記のような原因の検索が必要です。

原因を取り除かないのに、睡眠薬の処方をしても眠れません。

そして次に大事なのが「睡眠衛生指導」です。

不眠症と診断されたら

つまり不眠症と診断されたら

しっかり

・原因の検索

・睡眠衛生指導

・投薬

という順になります。

睡眠衛生指導とは??

では、睡眠衛生指導とは、、、の説明に入ります。

眠れない=睡眠薬処方して終わり!ではありません。

睡眠に対しては、結構誤解もあります。

そこで、外来では、睡眠障害対処12の指針を必ずご紹介します。

その上で、個々人に合わせて改善できそうなことがないか

一緒に考えていきます。

「睡眠障害対処12の指針」とは厚生労働省の研究班によって、睡眠障害を事前に防ぐための方法を12の指針として

まとめられたものです。

 

健康づくりのための睡眠指針2014こちら

 

睡眠障害対処12の指針

 

どうでしょうか?

お薬の前にできることあったでしょうか?

もしありそうならまずはそこを改善して見てくださいね。

では睡眠薬はどうやって選択処方しているのでしょうか?

原因の検索を行い、特別治療すべき疾患がなく

睡眠衛生指導も可及的に守った状態で

やはり不眠がある場合に、ようやく睡眠薬処方を考えていきます。

 

・睡眠薬にはたくさんの種類があります

さて、睡眠薬にはかなりの種類があることをご存知でしょうか?

歴史も長いため、本当にたくさんの種類の睡眠薬が開発されております。

作用機序も様々で、先ほどの不眠症のどのパターンに効果があるのかとか

効果のある時間の長さなど

睡眠薬にはこのように複数の種類があり大まかにこのような分類分けができます。

また睡眠薬ではないですが、抗うつ薬の一部は不安を取り除き、よく眠れるようになります。

睡眠薬の種類と効果

・大まかなそれぞれの睡眠薬の使い分け

簡単に説明しますと

睡眠薬を働きで分けた時

「脳の興奮をしずめる」作用のある→ベンゾジアゼピン系 非ベンゾジアゼピン系 など

「自然な眠気を強くする」作用のある→メラトニン受容体作動薬 オレキシン受容体拮抗薬

抗うつ薬の一種SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)など

という分類に分けることができます。

 

「脳の興奮を鎮める」お薬は、一般的に良く効きますので効果が強いと言えるでしょう。

一方で「自然な眠気を強くする」お薬は、自然な睡眠の形に近いので、依存性が少なく安全なお薬と言えます。

抗うつ薬の一種は、気持ちを落ち着かせることで、眠れるようにするようなお薬です。

 

睡眠薬の作用時間によっても分けることができます。

・超短時間型→ピークが1時間未満。作用持続時間は2-4時間 導入剤と言われるように寝つきを良くします。

・短時間→ピークが1-3時間。作用持続時間は6−10時間

・中間 →ピークが1-3時間。作用持続時間は20-24時間

・長時間→ピークが3-5時間。作用持続時間は24時間〜

それぞれの不眠のタイプ、パターンを吟味しながらその方に、一番合った薬剤を選んで参ります。

 

睡眠薬選択の方法の大まかなルール

睡眠薬を選択する方法はいろいろあると思うのですが

一つのやり方としては

まず、先ほどの不眠パターンに合わせた処方を検討します。

再喝します。

不眠症のパターン

寝つきが悪い、入眠困難のパターンであれば睡眠導入剤

途中で起きてしまう、中途覚醒のパターンであれば睡眠を維持させるようなお薬、もしくはベルソムラあたりははどうかな?

といった具合です。

なるべく単剤(一つの薬)で効果があるように選択します。

そして副作用を考慮してなるべく安全なお薬を選択していきます。

 

・ベンゾジアゼピン受容体作動薬について

ハルシオン、レンドルミン、リスミー、サイレースなどの処方をすでに受けておられる患者さんも多いと思います。

これらのベンゾジアゼピン系のお薬は、

強い入眠作用があり、今までもかなりたくさん処方されてきました。

これらの系統じゃないと全然効かない!と根強いファンがいるのも事実です。

一方で、

依存しやすい

翌朝まで持ち越してしまう

夜中に目が覚めてもぼっとしており転倒してしまう

などのリスクが言われており注意を必要とします。

また浅い睡眠を増やすことで睡眠の質はあまり良くないのではとも言われています。

 

・最近のトレンドの処方例 

上記を踏まえると

最近推奨されているトレンドは、なるべく、できるなら、ベンゾジアゼピン系を処方しないようになっております。

 

最近よく処方されるのは

まずは

オキシレン受容体拮抗薬と言われる種類のお薬です。

上の図で言うと

「デビエゴ」「ベルソムラ」と言うお薬なんかがこれにあたります。

睡眠効果はあまり強くないものの安全に使用できるお薬です。

 

次に

メラトニン受容体作動薬(ロゼレム)

このお薬も効果は弱いのですが、自然な睡眠のリズムを助けてくれるお薬です。

効き目が出るまでに少し時間がかかります。

 

そして

トラゾドン(SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

抗うつ薬です。不安を取り除き、その結果眠れるようになります。

色々不安があって眠れないなんて人には効果が期待できます。

 

 

非ベンゾジアゼピン系

①−③でも眠れない時に検討します。

 

もちろん、現在でもベンゾジアゼピンをの処方を受けている方で、問題なく眠れていれば大きな心配はありません。

また主治医の先生より深い考えがあって出されていることもあるのであくまで一般論です。

もし、これから処方をもらうという時の参考になれば嬉しいです。

 

図にしてみると、、こんな感じでしょうか?睡眠薬処方の最近の考え方(私見)

 

 

 

漢方薬という手もあります。

さて、私は漢方が好きでよく処方にも取り入れておりますが

漢方薬の中にも不眠に対して処方するものが複数あります。

これに関してはまた別の機会お話ししたいと思います。

漢方薬のイメージ

専門医ご紹介となることもあります。

どうしても不眠症が改善しない時は

専門の先生にご紹介する場合もあります。

 

 

あんな医師

 

さあ。今日は長文でしたね。お疲れ様でした。

さて今日は不眠症に関して

ざっと足早にお話ししました。

眠れないと様々な体調の不調が出てきます。

ぜひお困りの時は、一度ご相談ください。

 

あん奈