漢方薬について〜今日は「気」「血」「水」の「水(スイ)」!〜
みなさま
こんにちは。
今日も漢方ブログです。
さて今日は
漢方医学的な病態(証 「しょう」と言います。)を把握するためのひとつの捉え方である
「気(キ)」「血(ケツ)」「水(スイ)」の変調の中でも
「水(スイ)」にスポットを当てたいと思います。
今日で、「気」「血」「水」シリーズは一旦終了になります。
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水(スイ)とは何でしょうか
今までお話ししてきたことをさらっとおさらいすると
「気」は「エネルギー」「元気」と考えればわかりやすいとお話ししました。
そのような「気」の働きを担って生体内を巡る液体として
「血」と「水」があると漢方学では考えます。
「血(ケツ)」は、いわゆる血液そのものを指したり、血液の働きも含めたもっと広い意味も指すようです。
で、今日のテーマの 「水」、「スイ」。
水(スイ)は体の中の透明な液体全般を指します。
西洋医学でいうと、リンパ液、漿液といわれるものに相当します。
胸に水が溜まる、腹水がたまる、水様の鼻水、水っぽい帯下(おりもの)、足のむくみなど
こう言ったときに溜まる水が、「水(スイ)」です。
イメージつくでしょうか?
基本的に、水(スイ)は「気」と「血」が十分にあり、その上でその巡りが順調なら、
「水(スイ)」滞ることはないと考えられています。
「水(スイ)」の異常は、主に「水毒、水滞」です。
気の異常は、「気虚」「気鬱」「気逆」でした。
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「血(ケツ)」の異常は、「瘀血(オケツ)」と「血虚(ケッキョ)」でした。
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さて、今日のテーマ
「水(スイ)」の異常は、主に水が過剰になるか、滞るか、異常分泌の状態で、「水毒(すいどく)や水滞(すいたい)」と言います。
「水毒、水滞」ってどういうこと?
先ほども少しお話に出てきましたが、
●分泌の異常として
水様性の鼻水(例えば花粉症)
泡みたいな痰
水っぽい帯下(おりもの)
●水が停滞、滞るものとして
むくみ
腫れ
胸に水が溜まる(胸水)
腹に水が溜まる(腹水)
関節液が溜まる
胃の流れが悪く飲んだ水が降りて行かずチャプチャプする。
めまい、耳鳴り、立ちくらみ(実はこれも水毒が絡んでいることが多いと言われてます。)
気候や天気で悪化する頭痛(これも水毒の治療薬が効いたりします。)
水毒、水滞の局在を分類してみると
水毒に対する治療を行うときに
医師は
水は体のどこに溜まってる?どんな症状に?
というふうに分類をして考えやすくしております。
私がよく参考にしている本が、
「症例から学ぶ、和漢診療学 第3版 (寺澤 捷年先生 医学書院)」ですが→こちら
その本を参照にすると
①全身型
②皮膚・関節型(疼痛・炎症疾患)
③胸内型(呼吸器・循環器症状)
④心下型(上腹部型)
と4つに大別しています。
水毒を改善する生薬とは?
代表的な、駆水剤(利水剤)に含まれる生薬は
先ほどの分類によって少し異なる部分もありますが
「茯苓(ブクリョウ)(サルノコシカケ科)」「朮(ジュツ)」「沢瀉(タクシャ)(オモダカ科)」「猪苓(チョレイ)」
「防已(ボウイ)(ツヅラフジ科)オオツヅラフジの茎や根茎」
なんかがあります。
これら生薬を配合した漢方を選択していくわけです。→五苓散など
水毒の治療薬は、水を駆動させるという意味合いで
「駆水剤(くすいざい)」とか「利水(りすい)剤」とか言ったりします。
注目すべきことに
漢方の利水剤は、利尿薬とは異なり、脱水のときにはむしろ尿を出さないようにしてくれるという
特徴があります。
当院処方の漢方について
当クリニックでは
エキス剤という形での処方が一般的です。
要するにインスタント漢方薬です。
だいたいのエキス剤は
空腹時に温めたお湯で飲む。
湯飲みにエキス剤を入れて100ml程度のお湯を入れてよく溶かして飲むというのも効果があります。(中には、冷たい水で飲むほうがいいものもありますから、処方した場合はその都度お話ししますね。)
おわりに
さて今日は「気」「血」「水」の「水(スイ)」!に関するお話でした。
よく言われることですが
漢方を出す時は
この症状だからこれ!という出し方はあまりしません。
その方の体に起きている病態を改善する漢方薬を選んでいくと
悩んでいる症状が改善する。
というような選び方をします。
なので同じ症状でも、お知り合い同士でもらっている漢方が違うこともザラにあります。
逆に、症状が違うのに同じ漢方なの!?ということもよくあります。
以上、今日で漢方の一つの捉え方、「気」「血」「水」シリーズが終わります。
漢方薬は
辞書の索引を部首から調べたり、画数から調べたり、読み方から調べたりするのと似ていて
どの診方でその方の病態を捉えていくか
各先生によったり、その先生の中でも捉えやすいやり方があったりしますが
最終的に、構成している生薬の兼ね合いから
ここら辺よね?っていう落とし所が決まっていきます。
それがぴったり合っていくためには
患者さんのご協力も必要で
それを飲んでみてどうかとか
どれくらい余っているか(余っているかどうかも一つの大事な指標です。)
包み隠さず教えていただけると嬉しいです。
それでは、今日はこの辺で。
あん奈