足に網目状の皮疹ができた!? 診断名『ひだこ』って何??? 網状皮斑(リベド)とは?

こんにちは。

先日、足に網目状の皮疹ができた!という方が来られました。

私もそんなに多く出合う皮膚の症状ではなかったので
少し調べる時間をいただいてから御本人にもご説明し
最終的には大阪公立大学附属病院 皮膚科の先生にご相談し
『ひだこ』ではないか?
という事になりました。

ひだこ???

皆様、お聞きになったことはあるでしょうか?
今日の話題はこの『ひだこ』について話します。

少し温かくなってきたので
ちょっと話題としては遅い気もしますが
よろしければ読んでみてください。

 

網目状の皮疹=網状皮斑(リベド)です。

さて今回の話題はこのような網目状の皮疹です。

 

網状皮疹

注:写真は、実際の患者さんのものではありません。

 

末梢の循環が悪く(循環障害)
赤紫〜暗赤色の網目状の皮疹は
医学用語でいうと
『網状皮斑(リベド)』と呼びますが
これは皮膚症状名であり
疾患名(病名)ではないことに注意です。

皮膚の下で(真皮か皮下脂肪組織)
・静脈網の緊張低下
・動脈網の緊張亢進
が生じていると考えられますが
このような皮膚の状態になる疾患は様々あります。

 

網状皮斑(リベド)の原因

上記のように網状皮斑を起こすものには、様々な病態・疾患があります。
生理的なものから精査が必要なものまであります。

 

●生理的なもの

・寒冷刺激
寒冷刺激によって、静脈が拡張し血流が鬱滞する生理現象でも
この網状皮疹がみられます。 『大理石様皮膚』なんて言われることもあります。
お子さんや、若い女性に見られることが多く、温めると消えてしまいます。

 

●二次的なもの

温熱性紅斑(ひだこ)→これが今回の話題です。

ストーブやヒーター、こたつなどに長時間あたっていることでおきます。
実は、これを網状皮斑に含めず、『温熱性紅斑』として区別してある教科書もあります。

・血管炎

血管に様々な理由で炎症が起きると、それが網状皮斑として見えることがあります。

・膠原病

自分で自分を攻撃してしまう疾患の総称。
上記の血管炎の原因とも言えますが、自分で自分の血管を攻撃してしまうこともあります。

・循環器疾患

動脈が詰まった場合にも網状皮斑の形を呈する事があります。
ひどくなると潰瘍ができたりもします。

・血液疾患
血液の病気の症状として、血栓ができたり血管炎を起こすことで網状皮斑を呈する事もあります。

・薬剤性

・感染症

少し前に流行した、マイコプラズマ。
実は、マイコプラズマ感染症の後に網状皮斑を起こす事もあります。
その他にも結核や梅毒なども原因になったりします。

網状皮斑(リベド)という言葉のあいまいさ・・・

このように、網状皮斑を見たら
まずは、『網目状の皮疹だ!』という入口にたっただけの事で
そこからの鑑別こそが重要です。

見た目が繋がって一つの環をなしていると大理石様皮膚と言ったりしますが・・・

 

やはり『随伴症状』
その他の症状があるのか???
が一番大事です。

・発熱
・体重減少
・関節痛
・腎障害

などがみられた場合,血管炎,膠原病などの全身疾患を念頭において精査に進みます。

改めて、温熱性紅斑(ひだこ)って。

さて、見た目が網目状に見える皮膚疾患として
網状皮斑の一つの原因として考える場合と
網状皮斑とよく似ているけど区別して考えてある場合と
実は、この網状皮斑(リベド)という言葉の概念は医師の間でも混沌としております。

●原因

ストーブやこたつなどの暖房機器で
からだの同じ部分に
長時間繰り返し温熱(赤外線)があたることが原因となります。

 

電熱ストーブ

 

●何がおきているのか

熱線の刺激によって末梢循環障害がおきて
皮膚の下の正常の血管分布が
外から眼にみえる紅い網の目として描出されています。

 

●経過は

最初は炎症のため病名の通り赤い(紅斑)ですが
炎症が引くと茶色い色素沈着(炎症後色素沈着)を残します。

 

●治療は?治るのか?

 

赤みがあるうちは炎症を抑える塗り薬を処方することもあります。
茶色くなってしまうと色素が沈着しなかなか消えません。
ゆっくり良くなるのを待つしかないというところです。
皮膚科では、美白系の内服(ビタミンC トラネキサム酸)や外用の処方が出ることもあります

●なにより予防です。

温熱紅斑(ひだこ)は起こさないことが一番です。

暖房器具を使用する場合は
・長時間同じ部位があたらないように
・暖房器具に近づきすぎないように
気をつけてくださいね。

 

おわりに

さて
当院は、まちのかかりつけ医なので
いろいろな症状や、相談事と出会います。

時には、もっと当院より適した『科』や
その他の適切な『相談場所』をご提案することもあります。

すべてを当院で最後まで診ていけたら素敵なんですが・・・
すみません。。。
ご理解いただけたら嬉しいです。

 

あん奈