認知症が食事で予防効果あり!?「マインド食」とはどんな食事?? え?効果は結局ない???

こんにちは。
今日は、認知症の予防に効果のある食事についてお話してみたいと思います。

【過去の認知症関連ブログ】

・もの忘れ(認知症)がある方との付き合い方①(そもそも認知症って何?)→こちら

・もの忘れ(認知症)がある方との付き合い方②(周辺症状って何?)→こちら

・もの忘れ(認知症)がある方との付き合い方③(いよいよ付き合い方について)→こちら

 

高齢化社会になり
平均寿命が長くなってきました。
「長生きするなら、『健康』に長生きしたいなあ」
とだれしも思われるのではないでしょうか?

私の患者さんも
「最近、物忘れが多くて心配」とおっしゃる方はたくさんおられます。
今日は、認知症を予防できる食事についてお話してみたいと思います。

認知症の予防に効く食事
MIND食=(地中海食+DASH食)のいいとこどり!

以前から、認知症を食生活で予防するということは注目されておりました。

2015年には
アメリカ・シカゴのラッシュ大学メディカルセンターの研究チームが、
アルツハイマー型認知症の発症リスクを低下させるのに有効な食事法として
「マインド食」なるものを発表しました。

マインド食・・・・これは英語表記の頭文字をとっております。

MIND(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)

日本語に訳しますと
Mediterranean→地中海
DASH→DASH食(後述)
Intervention→介入
Neurodegenerative→神経変性
Delay→遅らせる

となります。
つまりマインド食(MIND食)は
糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防に効果があると言われている中海食
高血圧食であるDASH食 (Dietary Approaches to Stop Hypertension)
のいいとこ取りをした食事のことです。

 

では、地中海食とは?から見ていきましょう。

地中海食とは、ギリシャ、イタリア、スペインなどの
地中海沿岸の国々の人が食べている伝統的な料理のことです。

地中海食

注目され始めたきっかけは、1950年代に始まった国際共同研究において
地中海沿岸の方々は、高脂肪食を食べているにもかかわらず心臓病による死亡率が低い
ことが明らかになったためです。

今では
地中海食は
糖尿病や高血圧、肥満などの生活習慣病の予防や改善
心筋梗塞や脳卒中などといった心血管疾患を予防する
ことが分かっています。

そして、地中海食を続けることで
今回のテーマである
認知症の予防につながると言われています。

 

地中海食の特性
特に重要視される食品としては
魚、野菜、果物、オリーブオイル、ナッツ、全粒粉、赤ワインなどが挙げられます。

  • 果物や野菜をたっぷり食べる
  • 乳製品や肉よりも魚を多く使う。
  • オリーブオイル、ナッツ、豆類、全粒粉など未精製の穀物をよく使う。
  • 適量の赤ワインを飲む

地中海食

なんでその食事がよいのでしょうか??

  • オリーブオイルや魚介類には不飽和脂肪酸を多く含んでいるため
    LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値が下がる
  • 赤身肉(牛肉や豚肉など)など、飽和脂肪酸を多く含む肉は伝統的に食べない傾向にある。
  • 野菜や果物、ナッツ、オリーブオイルなどは、抗酸化作用が強い
  • 主食として食べるのは、食物繊維が多いとされる、全粒穀物(大麦、オーツ麦など)やパスタなどだが、
    それらは食後の血糖値上昇やコレステロールの吸収を穏やかにする作用がある。
  • 香りのよいハーブやスパイスを上手に使うことで、塩分が抑えられる

次に、DASH食とは何?についてです。

なるほど地中海食にはそんな効果があったのですね。

では次にDASH食について見ていきましょう。
最初聞いたとき、某番組名を連想し「???」となりました。
DASH=Dietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を防ぐ食事方法)の略語です。

つまり、DASH食は元々はアメリカで考案された、高血圧予防のための食事方法です。
日本の食文化とは異なりますが参考にはなりそうです。

DASH Diet

ポイントは2つです。

 

①飽和脂肪酸やコレステロールなどの脂肪分、砂糖などの甘いものを減らして
②野菜、果物、豆類、魚介類、海藻の摂取を増やす

 

具体的に見ていきましょう。

①飽和脂肪酸やコレステロールなどの脂肪分、砂糖などの甘いものを減らす

 

・肉類からなるべく魚類に切り替える。

・肉を選ぶとしても、低脂肪の肉を選ぶ
 肉類は脂肪の少ない鶏肉などを選ぶ。
皮や脂を取り除いたり、調理方法は「ゆで」を選びましょう。

・乳製品もなるべく低脂肪を選ぶ
低脂肪の牛乳やヨーグルトなどを意識して選ぶ。

・甘いお菓子やジュース類なども減らしましょう。

②野菜や海藻、果物、ナッツ類、全粒穀物を十分にとる

・果物、食物繊維を多くとる
 塩は、ナトリウムという物質です。
カリウム、カルシウム、マグネシウムと言ったいわゆるミネラルには、ナトリウムを排泄させたり
それぞれに異なった血圧を下げるはたらきがあります。
カリウム、カルシウム、マグネシウムを多く含むとされる野菜 果物を毎食とりましょう。

・大豆製品、乳製品、バナナ、アボカド、ブロッコリー、ナッツ類をうまく取り入れる

これらは、ミネラルが効率よくとれると言われる食品です。積極的に摂取しましょう。
様々な食品を”組み合わせる”ことでより効率的に血圧を下げると考えられています。
取り入れられそうなことを無理なく取り入れたいですね。

さて、いよいよMIND食をみてみましょう。

ここまで、地中海食、DASH食を見てきました。
さて確信に迫りつつあります。今日はMIND食がテーマです。

もう一度振り返ってみると
MIND(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)

MIND食は
中海食とDASH食 (Dietary Approaches to Stop Hypertension)
のいいとこ取りをした食事のことでした。

 

・地中海式食事法:魚や野菜、フルーツをメインに、オリーブオイルやナッツ類、赤ワインを取り入れた食事。
・DASH食:
脂肪分や甘いものの摂取を減らし、塩分を下げるミネラルをたくさん摂る食事。

これらを組み合わせたマインド食では
「積極的に摂るべき食品」が10項目
「なるべく控えるべき食品」が5項目
に分けられているのが特徴です。
これらを、足し合わせた15項目の内で
8項目から10項目を満たしていると効果が期待できる
とされています。(ここに塩分もなるべく6g以下になると良いですね。)

厳密な決まりがあるわけではないので、続けやすいことでも知られています。

では早速マインド食の中身を見ていきましょう。

 

●積極的に摂りたい食品のポイント

緑黄色野菜オリーブオイルは抗酸化作用があると言われています。
血圧を下げると言われる、オメガ3脂肪酸をたくさん含む魚やナッツもたくさん取りましょう。

 

●避けたい食品のポイント

赤み肉、バター、ファストフードには「飽和脂肪酸」が多く、たくさん摂取すると悪玉コレステロールと言われるLDLコレステロールが血液の中に多くなり、ゆくゆくは血管を痛めてしまいます。(いわゆる動脈硬化)まったく避けるのも難しいので、たまにはよしとしつつなるべく避けましょう。また、食塩は高血圧予防のため1日6g未満を目指すことが推奨されています。

 

MIND食と摂取頻度

一項目を各1ポイントとして、スコア合計を8.5ポイント以上にしていけるのが理想的と言われます。(塩以外)

 

興味ある方は、それぞれの食事の違いをみても面白いですね。
ただ、大事なのは、細かい数字より、ラフにでもいいので自分に合わせて、無理ない範囲で良いものをなるべく取り入れ、悪いものをうまくさけることだと思います。

 

 

DASH食事 地中海食 MINDS食 それぞれの違い

日本医事新報→こちら

文献2)とは  猪原匡史:最新精神医. 2020;25(4):261–9.

ただ、最近MIND食は認知症を予防しない!?
というショッキングな論文がメジャーな雑誌に投稿されました。

ただ、ここまで書いておいてなんですが。。。

NEJM(The New England Journal of Medicine)という
200年以上にわたる歴史を有し,世界でもっとも権威ある週刊総合医学雑誌の一つに

2023.8月にショッキングな記事が載っていました。→こちら

なんと
認知症の家族歴を有する,認知機能の低下を認めない参加者のうち,軽度のカロリー制限を伴う MIND 食に従った人と,軽度のカロリー制限を伴う対照食に従った人とで,ベースラインから 3 年目までの認知機能と脳 MRI 測定値の変化量に,有意差は認められなかった.

というのです。→こちら 

 

それなら、結局どうしたら良いものでしょうか?
それぞれの文化の中で、できることを。

ここまで、いろいろ身体によさそうな食事を学んできていざ!取り組もうとしたら
今度は効果がはっきりしない!と言われたり・・・・・

参ってしまいますね。

さてここからは
私見になりますが。。。

地中海食、DASH食、MIND食と言われている食事は
生活習慣病の予防の観点からも決して悪い食事ではありません。

今回は「認知症」に対してあまりいい成績が出なくて
少し残念ですが引き続き、医学者たちは模索していくことになると思います。

ありがたいことに、我々は、自分で食べるものを選択できる時代、国にいます。
少しでも、将来の自分への投資として血管を若々しく保つ食べ物を知って取り入れる。
だけども無理はせず
また、西洋の食事を無理やりするのでもなく
日本文化に合わせて、うまく生活に取り入れながら
楽しみながら食事をするというのが今のところ一番良いのではないかと思っております。

「日本食」が認知症発症予防リスクを軽減する という論文も出ています。
→Tomita Y,et al: Dietary Patterns and Incident Dementia in Elderly Japanese:The Ohsaki Cohort 2006 Study. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 71(10):1322-1328,2016 →こちら

おわりに

今日は、地中海食、DASH食、そしてMIND食という食事療法を診てきました。

認知症に対してどうなのか??
はこれからのスタディもまた期待しておきたいと思います。

繰り返しになりますが
食事内容としては
すごくまっとうな、私達が生活習慣病予防に対して指導する内容から大きく逸れているわけではないので
自分の生活に
うまく取り入れて
無理ない範囲でやってまいりましょう。

あん奈

参考関連ブログ一覧

【過去の認知症関連ブログ】

・もの忘れ(認知症)がある方との付き合い方①(そもそも認知症って何?)→こちら

もの忘れ(認知症)がある方との付き合い方①(そもそも認知症って何?)

・もの忘れ(認知症)がある方との付き合い方②(周辺症状って何?)→こちら

もの忘れ(認知症)がある方との付き合い方②(周辺症状って何?)

・もの忘れ(認知症)がある方との付き合い方③(いよいよ付き合い方について)→こちら

もの忘れ(認知症)がある方との付き合い方③(いよいよ付き合い方について)