よくある疾患シリーズ 〜咽頭炎/扁桃周囲炎〜
皆様
こんにちは。
山本 あん奈です。
今の時期、発熱があると
ご不安でしょうし、
受診も気を遣ってしまうことと思います。
当院は、時間、空間を分離して発熱患者様も診察させていただいてますので
受診を希望される方は
先にお電話を下さるとありがたいです。
私は、クリニックでは主に
急性疾患を担当してます。
このブログでは
少しづつ私が普段よく診ている「よくある疾患 (common disease) 」シリーズ
についてまとめて行こうと思ってます。
もちろん
当院で診察させていただいた場合
患者さんお一人お一人に
診断をお伝えした後で
しっかりその疾患のご説明をさせていただこうと思いますが
聞き逃したり、
繰り返しお聞きになりたいときに
ご自分のペースでいつでも見れるように
コツコツ書き溜めて行こうと考えております。
咽頭炎/扁桃周囲炎
さて、今日は、「喉が痛い!!!」
咽頭炎/扁桃周囲炎。。。。についてお話したいと思います。
咽頭炎/扁桃腺炎、その名の通り咽頭/扁桃周囲の炎症です。
もちろんウイルス感染の一症状としての咽頭炎/扁桃腺炎はあるのですが
ここで話題にしたいのは、「細菌感染」。
細菌が咽頭や扁桃の周囲に感染した!というものです・
この部位に感染を起こしやすい菌は
有名な溶連菌の他にも、肺炎球菌、ブドウ球菌など色々な細菌があります。
ウイルスなの?菌なの?という時に
ウイルスは、かなり小さい病原菌なので体を駆け巡り色々な症状を起こすのに対し
細菌は、ここ!!っていう臓器、今回なら 咽頭! 扁桃周囲!!を目指して襲ってくるという特徴があります。
なので風邪のような、鼻水や咳とかないのに
「喉だけ痛い!!!」っていうことが起きて来ます。
診断はどうやってつけているか?
さてどうやって診察していくか?
医師は問診、身体診察、(溶連菌検査キット)を用いて診断していきます。
センタークライテリア(Centor criteria)が参考になります。
- 扁桃腺が腫れているか 膿が付いているか +1
- 首の前のリンパ節が腫れているか +1
- 発熱+1
- 咳がない+1
- 年令<15歳 +1 >45歳 −1
-1~0 溶連菌性咽頭炎の可能性 1% →他の原因を考える
1~3 溶連菌性咽頭炎の可能性 18% →迅速抗原テストを検討
4~5 溶連菌性咽頭炎の可能性 51% →抗生剤投与
このうち、4点以上満たせばもう、溶連菌の可能性はかなり高く、検査キットはやらずに抗生剤を処方することもあります。
逆に −1〜0点ならならあまり細菌感染は疑わず、
1〜3点の時には検査キットを参考にするというものです。
ただここで一つ覚えておかないといけないのが
溶連菌診断キットは陽性なら、溶連菌感染とは言いやすいですが、マイナスの時の判断は難しいです。
というのもこの検査というのはいつも「確実 100%」ではないからです。
結局は、総合的に考えて抗生剤を出す?出さない?って決めていきます。
なんでそこまで、抗生剤出すか考えるか?
出しとけばいいやん!!と思うと思うのですが、
細菌は賢く、抗生剤を学習しより進化して
もっと強くなって襲って来ます。(耐性菌)
なのでここぞ!!という時に
しっかり抗生剤を処方。
効果出たらすっぱり止める!!が基本です。
治療はどうするのか?
以前より風邪(ウイルス)の一症状としてなら自分の免疫力で追い出すと説明して来ました。
それに対して
細菌に関しては「抗生物質」が有効です。
細菌それぞれ効きやすい抗生物質があります。
この咽頭や扁桃周囲が好きな菌に対する抗生剤の
第一選択薬は良く効く昔ながらのペニシリンというお薬ですが、10日間飲みきる必要があります。
つまり、症状がなくなっても飲み続ける自信のある方に出します。
だいたい皆様
良くなると、ついついサボっちゃうので
そのほかにも何種類か抗生剤があります。
それぞれに特徴があるので受診された際には相談して決めましょう。
今日は咽頭炎/扁桃周囲炎についての豆知識でした。
受診されて、
「うーん。喉が痛くて、センタークライテリア4点だから抗生剤出してください!」と言われると
通ですなあ
と思ってしまいます。(笑)
お手柔らかにお願いします。
ではでは。
あん奈