『かかりつけ』とは誰のこと?あなたには『かかりつけの病院/クリニック』『かかりつけの医師』はありますか?
突然ですが、みなさんには、『かかりつけ』はありますか?
さて、みなさまには『かかりつけ』の病院やクリニックはありますか?
あるいは『かかりつけの医師』はいらっしゃるでしょうか?
今、パッと行きつけのところ、先生のお顔が浮かんだ方は
良かったです。
ぜひ、その場所、先生を大切にして
いろいろご相談をなさってくださいね。→こちら
そもそも、『かかりつけ』とは?
さて、『うーん。自分のかかりつけってどこだっけ??』となった方。
ご自身の『かかりつけクリニック』『かかりつけの先生』とは誰のことを指すのでしょうか?
いろんなパターンがあります。
思いつく限り挙げてみると
パターン1
自分に何か急な体調不良
例えば
風邪をひいたかも?
熱が出た!
ぶつぶつがある!!!
という時に相談する場所が決まったところがありますか?
普段病気をしないような世代、お子様や働き世代くらいであれば
こういった、『急』な時に相談するところがあればそちらが『かかりつけ』と考えていいと思います。
そちらにはカルテがあって、最低でも5年間は保存されますから
すこしづつデータが溜まって行きます。
この方はこのくらいの頻度で風邪を引くなとか
去年は夏に熱中症なったね!
みたいにクリニックとその方の歴史がすこしづつ出来てきますので
そこがあなたの『かかりつけ医』と言えそうです。
うちにもそういった患者様、たくさんおられます。
パターン2
また、慢性疾患(生活習慣病)がある場合
例えば
血圧の薬、糖尿病の薬、脂質異常症の薬を定期的に貰いに行く場所がある方は
そこがあなたの『かかりつけ医』と言ってよいでしょう。
慢性外来の先生は、基本的に採血なども定期的にされるでしょうし
定期で内服すべきものがあるなら、そちらに風邪引いたときなどの『ちょっとした相談、受診』も
まとめて行ったほうがシンプルですね。
パターン3
では、なんらかの専門外来に通っておられる方はどうでしょうか?
関節リウマチなどの自己免疫性の疾患や、何かしらの悪性疾患など
なんらかの持病を持っておられて、定期的に、例えば月1回とか定期診察が入っていている場合はどうでしょうか?
ここらへんはその病院やクリニックの規模や、関係性にもよりますね。。。
地域によっても少し違うかもしれません。
一概に言えませんが
特殊なご病気や、特殊なお薬を使っている場合
理想的にはその先生が『かかりつけ』となっていただけたらとても安心ですね。
ただこの場合、主治医が大学病院や大きな病院でなかなかその先生に会うのが難しい場合・・・
『ちょっとした相談』が難しいこともあります。
家庭医療でいうところの『近接性』が保ちにくくなります。
→こちら(プライマリ・ケアのACCCAという考え方① 今日は一つ目のAを少しだけ。)
そういうときは、専門の先生とは別にご自宅の近くに、専門医の先生とは別にかかりつけ医をもう一つ作っておくのも一つの手です。
では、こういった場合は、どうしたらよいでしょうか?
パターン4
次の『あるある』ですが
整形外科や眼科は定期的には行くのだけども
内科の病気も特にないしなあ。
風邪引いたら市販薬で治っちゃうし
そういえば内科的な検査とかって長らく受けていないな。
特定検診って何年前が最後かな?
血圧はずっと高いって言われているけども。。。
それだけで別に体調悪くないのに
なんて言って内科のクリニックに行けばいいんだろう。
こういう方、実は結構多いです。
こういう方はぜひお近くの『自分と合いそうなクリニック』『自分と合いそうな先生』を見つけてみましょう。
後述しますが、なんらかのきっかけで受診してみて
雰囲気が自分と合うならそこを『かかりつけ』にしてみるのがいいでしょう。
パターン5
さてこういったパターンもあります
膝の痛みは『整形外科』白内障は『眼科』、皮膚が荒れているので『皮膚科』
眠れないので『精神科』で眠剤をもらっていて、手が震えるので大きい病院の『神経内科』も通院。
頭痛があって血圧が高いので『脳外科』も通院していて、めまいがあるので『耳鼻科』も行っている。
貧血があるので、大きい病院の『血液内科』も通い出した。
つまり実に細かく、症状に分けて、いろいろな科にかかっておられるパターンです。
さて、『かかりつけ』はどこでしょう?
以前私は、大学病院の総合診療科で勤務していた時期があります。
そこである衝撃的な患者様がいました。
月曜日は〇〇科、火曜日は〇〇科、水曜日は〇〇科。。。。これが土曜日までびっしり
じつに毎日、複数の科に通っておられましたが
風邪をひいて、いざ受診という時に、どの科にいっていいか分からないとのことで総合診療科にこられました。
→こちら マルチモビディティ(multimorbidity:多疾患併存症)という考え方について
ここまで連日受診ということは流石にないかもですが
こういう場合も、まるっと『その人をその人として』診てくれる内科を一つ『かかりつけ』として
持っておられた方がいいように思います。
何も無いのにクリニックに行くのはメンドウクサイ!!!
というか、きっかけが分からない!!!
正直、特に症状がないのに、クリニックに行くのって
なんかメンドクサイですよね?
きっかけもわからないし。。。
私もそうなのでわかります。(笑)
そういう場合は
・特定健診
・なんらかのワクチン接種(インフルエンザやコロナワクチンなど)
・家族のつきそい
などをきっかけに
クリニックに『行ってみる』というのも一つですね。
個人的には単刀直入に
『家が近いので、かかりつけ医になってほしい』というのも良いと思います!
でも『かかりつけ』って実際、必要??
近くの『なにかあったら相談する場所』位の感覚でOK
では、『かかりつけ』を持つことのメリットは何があるでしょうか?
かかりつけ医が診ているのは
実は病気だけではありません。
長年の付き合いの中で
その人が
『どうやって生きていきたいと思っているのか』
を一緒に育んでいくためにかかりつけ医は継続して診ていきます。
『〇〇さんはこういうときこうおっしゃるだろうな』
『〇〇さんは、採血が苦手だな』
『〇〇さんが、ご両親の介護をされている』
『〇〇さんなら、延命治療を希望されないだろう』
『〇〇さんのことなら、長女さんに聞くのが一番』
こういったことを
患者ー医師関係
患者ークリニック関係
といいますが、時間をかけて一緒に作っていくためにあります。
つまり
一番、自分の健康に関する特徴を知ってくれているところ
自分のことを知っていてくれているところが
『かかりつけ』ですね。
今までは
『病気のことは分からないから医者にお任せする』という時代があったかと思います。
今でも
その方が『楽』という人もいます。
それはそれで構いません。
でも強制されるものでもありません。
今は
『医学的にはこうです。』
『それを聞いて、あなたの考え方はどうでしょうか?』
『なるほどではこういうふうにしてみるのはどうでしょうか』
と医師が、医学的なことをお伝えして、選択肢を提示したうえで
御本人の大事にするもの、絶対やってほしくないことなどを教えてもらい
そのうえで、患者さんと、患者さんの家族や、周囲のケアに関わる方と医師とが相談して
具体的な、第一歩を決める
というのが理想です。
もちろんその上で
『医者になにもかもきめてほしい』という人もいるでしょう。
それがその人の意志ならそれでよいのです。
そういった
『自分はこうしてほしい!』ってことを医学的な立ち位置で聴いてくれる相手が『かかりつけ』だと思っております。
当院をかかりつけに希望される方は
いつでも、おっしゃってくださいね。
当院も開業して3年目。
まだまだ若いクリニックですが
最近少しづつようやく、この西成区、玉出の土地に馴染ませて頂いているように思います。
すこしづつ当院を『かかりつけ』としてくださる方が増えております。
『私の担当はカツシ先生です』
『いつもは、アンナ先生に診てもらってます』という方が増えてきました。
地域の福祉サービスの関係者様から
『利用者さんのかかりつけになってほしい』といっていただけることも増えてきております。
このように当院をかかりつけに選んでくださることは、本当にありがたいことだと感じております。
病気の特性によっては
ときには『専門医』の先生をお借りすることもあるでしょう。
CTなどの画像検査を大きい病院でお願いすることもあるでしょう。
胃カメラや大腸カメラは消化器内科の先生にお願いしてます。
それでも、根っこのところ、片足軸は常にこちらにおいていただいて
いつでも戻ってきてもらう関係でいたいと思います。
同じクリニック内でも
医師も人間ですから
私とカツシ先生でも話し方や得意分野は違います。
それぞれに、それぞれに合った患者さんが増えていくのがありがたいことだな。と思います。
合う合わないは患者さんが決めてくださったらいいのです。
ぜひ、自分に『合うクリニック』『合う医師』を見つけてくださいね。
そしてぜひ、診察室では、皆様の『思っていること』『本音』をお話くださいね。
苦手で飲めないお薬があったらぜひ教えて下さい。
運動や食事療法を守れていない場合もぜひ教えて下さい。
毎回の診察は『点』であっても『点』と『点』繋いで、『線』に
『線』と『線』をつないで『面』にしてまいりましょう。
長い歴史を経ながら
御本人らしい生活が送れるように
一人一人に合わせて診察をしてまいりたいと思います。
多くの方の素晴らしい人生に主治医として
携わらせていただけて
感謝しております。
今後ともよろしくお願いいたします。
あん奈
過去の参照ブログ
ぜひ、主治医には「言うと悪いから」と思って隠したりせずに本当のことを教えてくださいね。→こちら
・総合医と専門医はどっちも大切。患者中心の医療。そして、セッティングによる違いも。→こちら
・プライマリ・ケアのACCCAという考え方① 今日は一つ目のAを少しだけ。→こちら
・マルチモビディティ(multimorbidity:多疾患併存症)という考え方について→こちら