むずむず足症候群(レストレスレッグ症候群:RLS)と鉄欠乏の密接な関係!?
こんにちは。
この間
よくある疾患シリーズ〜貧血について① 全般について〜→こちら
よくある疾患シリーズ〜貧血について② 鉄欠乏性貧血、いわゆる『テツケツ』について〜→こちら
の二本立てのブログをUPしました。
今日も少し、鉄欠乏症と関係する疾患をご紹介いたします。
むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)という疾患をお聞きになったことはあるでしょうか
直訳すると、下肢静止不能症候群という名前になるでしょうか?
いったい、どういった疾患を指すのでしょうか?
今日はこのむずむず脚症候群をご紹介して参ります。
むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群:RLS)とは?
むずむず脚症候群とは
夜寝ている時に足がむずむずして眠れない!
というものです。
足を動かすと楽になるので、
足を動かさずにはいられない!という衝動に駆られます。
この気持ち悪さの表現は人によって異なり「むずむず」「ビリビリ」「ソワソワ」など色々な表現があります。
足に多いですが、手や体に感じることもあります。
夕方から就床後の夜間帯に悪化するため、眠れないという方が多く、叩く,もむ,歩くなどで少しマシになるとお話しされます。
この症状でお悩みの方おられるでしょうか?
日本における有病率は、人口の2-5%ほどと言われております。
でも、日本ではあまり知られていないので潜在的にはもっといらっしゃると思われます。
子供から高齢者までさまざまな年齢で発症します。
女性が6割を占めると言われています。
むずむず脚症候群の4つの特徴!診断はどうやってつくのか?
むずむず脚症候群には4つの特徴があります。
①じっとしていられないほどの下肢の気持ち悪さがある。
②1日の中でも波があり夕方以降に悪くなる。(特に夜間)
③安静にしていると症状が出る。
④足を動かすと良くなる。
このような4つの特徴に当てはまる場合で
その他の他病気や病態(筋肉痛、こむらがえりなど)ではないことを持って診断となります。
そのほかに診断につながる補助項目として
①ご家族にも同じようにむずむず脚症候群の方がいる。
②睡眠中に足を急に動かす運動が見られる。
(例:居眠りしたら足がビクってして何か蹴ってしまったことありませんか?アレです。)
(周期性四肢運動:periodic legs movements during sleep:PLMS)
③少量の内服を投与すると一旦良くなる
というものも参考になります。
どれくらいの程度(重症度)なのか
さて、どうもむずむず脚症候群(RLS)らしいとなると
程度を見積もる必要があります。
下記の国際レストレスレッグス症候群研究グループの出している重症度スケールなどを用いて
程度(重症度)を見積もります。
もし症状がある方は、一度どの程度の大変さなのか見積もって見てください。
程度によっては、お薬などを使わずに
生活習慣を改めたりする事で、よくなる事もあります。
後で詳しくお話ししますね。
原因は?なんでこんなことが起きるのか?
むずむず脚症候群には、基礎疾患のはっきりしない特発性RLSと二次RLSに分けられます。
●特発性
原因がはっきりしないもの。
ドーパミンという物質に関連したお薬が奏効するので、その関連の神経系異常が疑われています。
また、遺伝する可能性も示唆されている。
●二次性
薬剤性(お薬のせい 抗うつ薬 抗ヒスタミン薬 抗てんかん薬など)
腎不全
妊娠中
鉄欠乏
亜鉛欠乏
神経疾患
その他の疾患(糖尿病 クローン病 関節リウマチなど)
二次性のもの、原因がわかる場合にはそこを改善する必要がありますね。
特に鉄欠乏に関連する時は
よくある疾患シリーズ〜貧血について② 鉄欠乏性貧血、いわゆる『テツケツ』について〜→こちら
このブログもご参照くださいね。
治療はどうするのか?
さて、むずむず脚症候群の治療ですが
①原因となる基礎疾患の治療(二次性の場合)
②ライフスタ イルの工夫(特に睡眠に関する)
③薬物治療
の3 つの観点から考える必要がありま す。
①原因となる基礎疾患の治療(二次性の場合)
原因がある場合は、まずそれぞれの原因に応じて対応していきます。
例)
まず原因になりそうなお薬は中止いたします。
鉄の欠乏の場合には、補充していく必要があります。
ここでは特に、原因がわからない一次性についてお話しします。
②ライフスタイルの工夫(特に睡眠に関する)
程度が軽い場合は、なんとか生活習慣の見直しで改善しないか試してみます。
・カフェイン摂取を避ける
夕方以降の お茶、コーヒー、紅茶の摂取を控えましょう。
・アルコールを適切に
また、アルコールも悪化要因になるので避けた 方がよいでしょう。
・禁煙も有効です。
禁煙によって症状が軽減することもあります。
・下肢のマッサージ、運動も効果的です。
歩行やストレッチなどもRLS症状を軽減させます。
・入浴やシャワーも良いみたいです。
温水と冷水どちらも効果あるようですね。
③薬物治療
非薬物療法(お薬を使わない方法)で改善しない時は、お薬も考えていきましょう。
明らかな原因がなく
生活習慣の見直しでも良くならない時はお薬の出番となります。
何種類かありますが、原因として「ドーパミン」という神経伝達物質の関係が考えられていますので
神経内科の先生がよく使われるようなお薬の系統が主流になります。
これらのお薬の扱いは、工夫がいるので
専門の先生方が慣れておられて、上手にコントロールしていただけます。
当院では、薬物治療が必要かなと言う段階で一度神経内科の先生にご相談させていただき
ご紹介の上、そちらで加療もしくは
場合によっては、専門医の先生と一緒に診せていただくことにしております。
おわりに。
さて今日はむずむず脚症候群についてお話ししました。
足がむずむず、ソワソワしてこれ何かしら?
という方は、一度ご相談にいらしてくださいね。
良質な睡眠をとることは
何事においても、心にも体にも大事です。
もしかして?と思ったら一度ひとりで悩まずにご相談を。
あん奈