よくある疾患シリーズ 〜尿路感染症(膀胱炎/腎盂腎炎)〜
皆様
こんにちは。
山本 あん奈です。
今年のお盆休みは
indoorで家族でまったり過ごしております。
時間ができたらクリニックに出勤して
来週から再開する新型コロナワクチンのご予約の件で
待って頂いていた方を中心に再フィックスのお電話をさせて頂いております。
キャンセルのお電話の時とは違い
前向きなご連絡なので、嬉しいです。
さて私は、クリニックでは主に
急性疾患を担当してます。
このブログでは
少しづつ私が普段よく診ている「よくある疾患 (common disease) 」シリーズ
についてまとめて行こうと思ってます。
もちろん
当院で診察させていただいた場合
患者さんお一人お一人に
診断をお伝えした後で
しっかりその疾患のご説明をさせていただこうと思いますが
聞き逃したり、
繰り返しお聞きになりたいときに
ご自分のペースでいつでも見れるように
コツコツ書き溜めて行こうと考えております。
今後「よくある症状からシリーズ」も
書いていく予定です。
ゆっくりお付き合いいただけたらと思います。
さて今日は尿路、つまり尿が作られ、排泄される道の感染症についてのお話です。
・尿路感染症(膀胱炎/腎盂腎炎)
どんな疾患か
尿路とは尿の通り道のことです。
尿は、腎臓という尿を作る臓器で血液から作られて(腰の後ろあたりにあります。)
尿管という管を通り、尿を貯めておく膀胱(お腹のおへその下あたり)
に溜められており、尿道から排泄されます。
腎臓を上部尿路、膀胱や尿道を下部尿路ということもあります。
その通り道のどこかが細菌感染をした場合、まとめて尿路感染症と言います。
尿路感染症の中でも各臓器のみ感染した場合は〇〇炎と呼びます。
例えば
膀胱に細菌感染した状態を膀胱炎。
腎臓まで細菌が及ぶと腎炎(腎盂腎炎)といった具合です。
★単純性?複雑性?
さて単純性尿路感染症、複雑性尿路感染症という用語は聞いたことがあるでしょうか?
治療にすんなり反応してくれそうな場合を「単純性尿路感染症」
一方、治療の反応性や合併症が予想される場合「複雑性尿路感染症」と言ったりします。
何が複雑かというと
・解剖学的に:尿の通り道が狭いところがある(尿路狭窄)尿の流れが詰まってしまっている(尿路閉塞)
・尿が出せない状態:排尿障害
・異物がある:尿路結石 尿管カテーテル(バルーン、管)を挿入している。
・基礎疾患がある:糖尿病 慢性腎障害など
尿も川と一緒です。よどみなく流れていけばあまり問題になることがないですが
流れていけない状況があると
細菌も滞留してしまいます。
こう言った一筋縄でいかないかもしれない状況を
「複雑性尿路感染症」と呼びます。
★どんな症状か
おしっこが近い!
排尿時に痛みがある!
残尿感がある!
などの場合は膀胱炎を疑います。
膀胱炎だけなら高熱は出ません。
一方、膀胱からさらに遡って腎臓まで細菌が及んだ場合は、高熱が出ます。
また腎臓から血管にまで細菌が及んでしまうと
菌血症、敗血症といった状態になることがあります。
腎盂腎炎の方が重篤です。
診断はどうやってつけているか?
まずは問診です。上記のような症状がないかどうか?
そしてやっぱり尿検査です。
細菌と細菌をやっつけようと白血球が出て来ているかなどをみていきます。
また、先ほど言った
「複雑性」の要素を探しにいきます。
クリニックにはない検査として
腹部CT検査が有用なことがあります。
尿の流れ道を閉塞するものがないか?
画像検査でしか分からないこともあり
疑われる場合は紹介します。
また、もし腎臓から膀胱へ尿を運ぶ尿管という管に結石(尿路結石)があった場合は
細菌の排泄が遅れますので、結石を早く外に出さないといけません。
その場合は泌尿器科の先生にご紹介させていただきます。
また血管の中に細菌が及んでいないかどうか調べるには
血液培養という検査が必要になります。
血液をとって、菌が生えて増えて来ないか見る検査です。
このようなことを疑うなら、状態としては悪いので、入院加療のことが多いです。
その段階で大きな病院へご紹介することが多いです。
治療はどうするのか?
膀胱炎も腎盂腎炎も
細菌感染なので抗生剤が必要になります。
軽症の膀胱炎の場合は、大量に水分を摂ることで治ることもありますが。。。
基本的には抗生剤を処方いたします。
さて尿路感染を起こしやすい菌というのが大体決まっています。
圧倒的に大腸菌が多いです。
しかし、細菌は抗生剤の歴史的な使用により
耐性菌も増えて来てます。
抗生剤を始める前に、尿を採って培養し何菌か特定してから抗生剤を行う方が本当は筋が
通っていますね。
そしてその菌に効果がある抗生剤を処方します。
ただ腎盂腎炎まで起こしていると
抗生剤の内服だけでは、追いつかず点滴の抗生剤が必要となる事もあります。
その場合は全身状態も鑑みて入院の方が良いこともあります。
色々な選択肢がありますので相談して治療方針を決めていきましょうね。
今日は尿路感染症についてまとめてみました。
尿路と言っても幅広く
対応も異なりますので
尿のことで恥ずかしいなあと思わずに
お気軽にご相談に来てくださいね。
残りのお盆休み
雨模様とのことですので
とことん
inndoorでステイホームしたいと思います。
あん奈